COLUMN

2020.06.30

「コピーライター、ケーキをつくる。」 by 清水 里華 第7回/栄養成分検査の落とし穴。

資金計画に着手し、いよいよ事業の全体予算が見えてきたところでようやく製品開発とデザイン開発のフェーズへと突入いたします。

まずは製品開発のお話から。
今回、世界的なパティシエであり、日本スイーツ協会代表理事である辻口博啓さんに渋谷まる福様の製造現場を視察いただき、まる福さまの製菓スキルを確認いただいた上で新たな製品開発をお願いしたのですが、その際に提示させていただいた条件は以下の3つでした。

1. 誰もが納得する圧倒的なクオリティ
2. 糖質オフ&グルテンフリーな素材
3. 障がいのある方でも完璧に再現できる3種のレシピ

辻口さんがおっしゃるには、実はこの1と2の両立が一番難しいとのこと。糖質オフの素材を使うと、どうしてもパサついたり、鼻につく甘みが出てしまったりということで、なかなかプロとして納得のできる商品が少ないのだそうです。

(そんなこともつゆ知らず、スイーツのスの字も解さないコピーライターごときが偉そうに無理やり条件を押し付ける暴挙に出てしまい大変申し訳ありませんでした!)

それからおよそ1ヶ月後。
予告なく会社に届いたダンボール箱には「ケーク試作品」の文字が。おお!ついに!!!

はやる気持ちを抑えつつ、運営メンバー全員でダンボールの封をといたとたん、全員の第一声が「かわいい~~~~~!!!」。

そう、パウンドケーキだというのに、見た目がめちゃかわいかったのです。特に苺とクランベリーのケーク。こんなかわいいパウンド、見たことない。しかも、箱を開けた瞬間にふんわりいい香りが立ち上ってなんともリッチな気分に。これはお味も期待大であります!

急いでナイフとお皿を持ってきてサンプルをカットし、ワクワクしながら口に含んだ瞬間、メンバー全員が驚愕。

「美、美味すぎる・・・・」

糖質オフを感じさせない上質でしっとりとした舌触りに加え、幾重にも重なり合った複層的で奥深い味わいのハーモニー。しかも3種類のいずれもが個性的で、圧倒的な完成度の高さにメンバー全員が絶句。さすがは世界中から認められている辻口さん。プロってマジすごい。もうこれしかない。これでいこう!

最強のレシピが決まったところで、次はカロリーや糖質量など、栄養表示についてのリサーチであります。が、ここでわたしは大きな勘違いをしておりました。いわゆる料理レシピと同様に、てっきり原材料の配合割合からカロリーや糖質量を算出できるものだと思いこんでおりましたが、パティシエいわく、公的に食品検査を行なっている専門機関に発注した方が良いとのこと。しかし、ざっとネットで探してみても、どの検査機関が良いのか選べない。うーん困ったと思いながらググっていったところ、お手頃な価格でまとめて検査できるという機関を発見。やったぜ!とばかりに、すかさず手元にあった3種の試作品(超貴重)を検体として送りつけたのでした。

しかし、そのときのわたしは知る由もなかったのです。
一介のコピーライターが新規ビジネスを起こすまでには、その先に茨の道が待っているということを。

(次号に続く)

PROFILE

清水 里華(シミズ リカ)

都内の広告会社に勤めるクリエイティブディレクター兼コピーライター。
ときには、戦慄のオルタナティヴロックバンド「Very Ape」でドラムを叩き、ときには、WEBメディア「FREEZINE」で企画+取材+構成+イラストを担当。
2019年より、クリエイティブの力で社会課題に挑む新規事業「Lashisa(らしさ)」を立ち上げ、手探りで運営している。

Very Ape

Lashisa

Lashisa(らしさ)とは?

クリエイティブの力で、もっと社会にしあわせをーーー。

「Lashisa(らしさ)」は、障がい者の社会参加を支援する就労支援施設における賃金アップという社会課題を解決するために、広告会社「原宿サン・アド」が立ち上げた新規事業です。
一般社団法人「日本スイーツ協会」の代表理事である辻󠄀口博啓氏の監修のもと、糖質オフ&グルテンフリーなプレミアムスイーツを開発し、渋谷区の就労継続支援A型の施設「渋谷まる福」に製造委託。
原宿サン・アドのクリエーターが手がけるパッケージとECサイトで販売いたします。
高付加価値な製品の開発・販売を通じて、就労支援施設の賃金アップに貢献します。 

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