COLUMN

2023.04.11

「ズッコケマンション売却日記」 by 清水 里華 第1話/ラプソディの幕開け

FREEZINE運営スタッフの清水です。さて、みなさんご存知かとは思いますが、2023年現在、東京23区内を問わず、あちらこちらで不動産価格があり得ないレベルで上昇しております。かく言う私も、東京都渋谷区のど真ん中に位置する「原宿」(正確には神宮前)という土地に、60㎡・2LDKの狭小マンションを所有していたのですが、コロナ禍真っ只中にして五輪バブルにあたる2020年の秋にこの事実に気づきまして、軽い気持ちで査定に出してみました。すると・・・


「なんじゃこりゃあ」


そうなんです。某N不動産が提示してきた価格は、なんと購入価額のおよそ2倍。うーむ。8年前のマンション購入当時はよもやそんな展開になるとは想像すらできなかったが、その数字を見た時、ピコーンと父親譲りの拝金主義が蠢き、私の脳裏にこんな入知恵をしてきたのである。


「なあ、この五輪バブルのうちに原宿のマンションを売り払って住宅ローンの残債を一括返済し、残った利ざやだけで購入できる郊外の新居に引っ越せば、実質、“家賃ゼロ”生活になるんだぜ・・・とっととやっちまいなよ・・・」


何しろ、コロナ禍に伴い勤め先である原宿の広告制作会社がほぼリモートワーク体制となり、国内外のどんな場所で働いたとしてもほぼ問題ない状態になっていたんです。その上、夫はアパレル販売の個人事業を営んでおり、在庫スペースを確保する上でも、原宿という超都会の狭小マンションより、郊外のちょっと広い家の方が圧倒的に有利なのである。ということで、その邪な構想を夫にすかさず共有し、夫婦共に原宿のマンション売却を即決。それこそが、自宅の売却活動と、新居探し活動が同時並行で織りなす「狂詩曲~ラプソディ~」の幕開けだったのでございます。

(つづく)


※ちなみに2023年3月現在、このマンションの価格は、購入時のおよそ2.5倍に迫る勢いで爆上げ中であります。いつまで続くんすかね、この不動産バブル。

PROFILE

清水 里華(シミズ リカ)

都内の広告会社に勤めるクリエイティブディレクター兼コピーライター。
ときには、戦慄のオルタナティヴロックバンド「Very Ape」でドラムを叩き、ときには、WEBメディア「FREEZINE」で企画+取材+構成+イラストを担当。

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