PEOPLE
2020.07.28
鈴木リズ インタビュー | 男性も女性も、自分らしく好きなものを好きと言える社会にしたい。
取材・構成:清水 里華 撮影:ゆうばひかり
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2020.07.28
取材・構成:清水 里華 撮影:ゆうばひかり
編集部(以下、編):女性AV監督として様々なシーンで大注目の鈴木さんですが、これまでの職歴を教えていただけますか?
鈴木リズ(以下、鈴木):携帯ショップやパチンコ屋、ネットカフェを経験し、上京後はITの総務から現在のアダルト業界へ。合間にSMバーでも勤務していました。
編:性業界を目指したきっかけはなんだったのですか?
鈴木:10代の頃に、いわゆるフェチ(編注:フェティシズム)ビデオに出演したことがありまして。撮影時に言われたのが「脇毛を剃らないこと」。で、撮影に臨みましたところ、食べ物を踏み潰すことに快楽を覚える方など、いろいろな性癖やフェティシズムと触れる機会があって、「人の性ってめちゃめちゃ面白い!」と思ったのが最初です。その後、SMバーやハプニングバーなどで特殊な性癖の人に関わることが多々あり、性について生涯をかけて掘り下げていきたいと思ったのですが、社会人になりたてのころは地元で一般企業に勤めていました。上京後に安定のためにIT業界で総務として勤めている内に、 「自分にしかできない仕事ってなんだろう?」と考えるようになって、そういえばもともと性業界に興味があったことを思い出したんです。その後、風俗の内勤やAV女優も検討したのですが、より長く携われる仕事をと考え、AVメーカーへ就職しました。
編:それが現在所属されている「桃太郎映像出版」なのですね。では鈴木さんの、創作の源泉とは何ですか?
鈴木:まずは桃太郎映像出版の中の人が大好きであること。本当に後光が差して見えるほどにみんないい人なんです。その人たちを支えたいという気持ちが強いですね。そしてもちろん、作品を見てくれたり、イベントに来てくれるユーザーが大好きであること。そんな方々に喜んでもらうためならなんでもしたい。そんな思いで日々楽しくやっています。
編:ご自身が監督を務めているAV制作時にこだわっていることや心がけていることは何ですか?
鈴木:そうですね、とにかくぶっ飛んで楽しく、明るくヌケるエロ作品であることを心がけています。このご時世、本当にいろいろありますけど、心にもやもやしたものがあったらなかなかエロい気分にもなれないじゃないですか。だからこそ、ちゃんと力を抜いて安心して楽しめる作品を作りたい、と考えます。私自身は園子温監督の映画「冷たい熱帯魚」だったり、江戸川乱歩の文学作品(編注:いわゆるエログロ路線)などが好きなのですが、仕事として撮る作品には、お客さまに「売れること、見てもらえること」を最優先しています。もともとが営業職というのもありますが、売れなければ意味がないと思うんです。
編:ではものづくりにおいて大切にしたいことも、やはりきちんとユーザーニーズに向き合い、満たしていくということなんですか?
鈴木:はい、まずは売れること。ユーザーに選んでもらうことが第一だと考えています。たとえば1000万円かけても売れない作品より、求められるのであれば10分だけで撮った作品でもOKだと思うんです。これはAV業界に限った話ではないのですが、アーティストとして活動している方こそ、販売の現場の意見であったり、数字であったりを意識するべきだと思っています。売れない作品がどんな扱いをされているかわかるので。ただ、それぞれのタイミングもありますので、まずはそのときに求められていることに全力で向き合っていくことが大事かなと思います。
編:鈴木さんご自身の仕事上のやりがいも、そのあたりにあるのですね。
鈴木:はい。作品の感想を伝えてもらえること、販売店舗や配信サイトから「売れている」という言葉をもらえることですね。
編:営業として就職されたのち、自ら監督として立ち上がった経緯は?
鈴木:もともと、女優の良さを引き出すための企画が先にあったんです。私自身も、普段からイベント等で控室での女優を見てきた経験から、女優本来の人の良さに感銘を受けており、その人の良さを是非ユーザーに見て欲しい!と強く感じていまして。あとは、もともと逆ナンが趣味だったこともあり抜擢されたという経緯です。
編:鈴木さんがご自身の作品を通じて伝えたいことは何ですか?
鈴木:先述の通りですが、女優さんの人柄の良さですね。懸命に頑張ってこの仕事を続けている人たちばかりなので、その人となりを伝えていきたいです。いまは難しいかもしれませんが、もしファンイベントが開けるなら女優さんの人柄に直に触れていただけることで伝わることが多いと思うので、ぜひ来て欲しいですね。自分の作品では、女優さんたちの日常の食事のシーンなどをあえて入れるようにして、内面や素の部分をできるだけ引き出したいと考えています。いつか、たくさんの女優を集めてお酒を飲んでフリートークをしながらHなことをしちゃうとか、そんな動画収録にも挑戦してみたいですね。
編:なるほど。では鈴木さんご自身の使命は何だとお考えですか?
鈴木:自らが女性監督で「エロのなんでも屋」を名乗っていますから(笑)、女性を含むすべての人が自分自身の選択ができる世の中にしたいですね。 AVって、そもそも18歳以下が見られない前提があるので、モザイクなんか必要ないと思うんです。性器を隠すのではなく、正しい性教育に貢献できる作品を作りたいです。いわゆる「AVファンタジー」を活かしつつも学べる作品。目の前の相手とどんなコミュニケーションをとってどうするべきかを、男女ともに歩み寄って話しながら楽しんで勉強できるAVを作って行きたい。そして性に悩んでいる人に寄り添って、悩みをオープンにできる世の中にしたいと考えています。
編:どのようにスキルアップされていますか?
鈴木:「やりたいことのための やりたくないことは やりたいこと」これを常に念頭に置いて行動することですね。これ、実は漫画喫茶に勤めていた頃の同僚のモットーなんです。海外旅行が大好きな人で、旅行に行くためには2〜3日休みなしで働くことも辞さないという。私の仕事は営業なので、どんな相手に対しても丁寧に接することであったり、PCでの細かな作業であったり、苦手なことはいろいろありますが(笑)この言葉を思い出しては自らを奮い立たせています。
編:仕事上の苦労談はありますか?
鈴木:細かな作業が多く、時間がいつも足りないです。遠回りしているように感じることもありますが、すべてが作品に繋がっていることを意識しています。
編:仕事の広げ方と断り方についてどのように決めていらっしゃるのですか?
鈴木:「その先があるかどうか」「ワクワクするかどうか」で判断しています。死ぬときに後悔するのは嫌なので、常に「どう死ぬか」ということを考えて行動するようにしています。
編: 仲の良いアーティストやクリエイターはいらっしゃいますか?
鈴木:「業界女子会」というのが定例で行われており、この業界の様々なメーカーに勤める女性が集まるのでそのメンバーはみんな仲良しです。
編:現職に就かれてから生活面での変化はありましたか?
鈴木:夜が遅くなりましたけれど、外で声を掛けてもらえることが多くなりました。あと、大好きなくまグッズを貢物としていただけるのも嬉しいです。全部が丸いあのフォルムがたまらないですね。
編:健康管理方法は何ですか?
鈴木:毎朝、「豆乳+ハチミツ+お酢」の特製ジュースを飲むことです。
編:今後の目標や展望を教えていただけますか?
鈴木:ヤリマンワゴンを引き続きリリースし続けていくこと。男性も女性も、自分らしく好きなものを好きと言える社会にしていけるような活動にさらに力を入れたいですね。
編:鈴木さんの思う「自由」とは?
鈴木:責任です。 「自由の裏には責任がある」。実は、父から教えられたことなんです。最近になってやっとわかってきたことでもあります。
編: FREEZINEの読者層である「自由に作る人、自由をつくる人」へのメッセージをいただけますか?
鈴木:もっとたくさんのもとの交わり合って、新しいもの、楽しいもの、夢中になれるものを創っていこう!
代表作「ヤリマンワゴン」シリーズ(https://www.indies-av.co.jp/genre/yariman-wgn/)
女性でもライト層でも楽しめる、エロ以外も見どころ満載な女2人旅AVシリーズ
<ヤリマンワゴン号>元々は私の営業車。この車で遠方の作品取り扱い店舗までひとっとび!ヤリマンワゴンの撮影ではこの車で旅行してこの車の中でエッチしちゃいます。色々とガタはきていてもなくてはならない相棒です。
<フランクリン・コヴィーの手帳>撮影の構想や営業の急な連絡など外でメモを取ることが多く、手帳は必須。絶妙なニュアンスのカラーに一目ぼれして去年購入して以来、大切に使っています。
ジャパニーズアダルトビデオ、通称AV。
男性でお世話になったことのない人は勿論いないだろう。
男同士の飲みの場で自分の時代(一番オナニーをする時期)にお世話になったAV女優の話で盛り上がるのはあるあるだと思う。
ちなみに僕は美竹涼子さんと石原莉奈さんの揺るぎない2topだ。
そんな女優は思い出すが作品を作っている監督ってあまり話にあがらない。
世の男性を癒し狂わすエンターテイメントを作品としてつくっているAV監督。
大人になった今だからわかるがものすごいことだ。売り上げもシビアな世界だろう。
だけど最近全裸監督で知った村西とおるは時代背景が違すぎて歴史上の偉人をみている感じであまり人間としてリアリティーがない。
そんな中ひょんな事から知ったタトゥーまみれの美しい女性AV監督鈴木リズさん。
あの名作ヤリマンワゴンシリーズの監督だ。1度は目にした事もある人も多いだろう。
迷わず僕は取材のオファーをした。
(ものすごい多忙な中快く引き受けて頂いた事に改めて感謝します。)
記事を読んで貰えたら伝わると思うが結果素晴らしいインタビューになった。
何回でも読んでほしい笑
撮影のあと、我々編集部と鈴木リズさんとリズさんを紹介してくれたフラワーアーティストの相壁さん(前回 FREEZINEに出演)でお酒を飲んだ。その模様はどこかでリリースするのでぜひ見て欲しい。
鈴木リズさんの人柄は素晴らしかった。
丁寧で傾聴の能力に長けていて誰に対しても腰が低くそして場を明るくしようと常にしてくれている。相手を気持ちよくさせてくれる人だ。
事実僕は昔からの友達と飲んでるような錯覚をおこした笑
そんな彼女が「女優さんの素晴らしい人柄を伝えたい」という。
おそらく彼女の周りの女優さんは公私ともにまじもんの天使なのだろう。
イベントにいくとより女優さんの人柄が伝わるらしい。今度誰か一緒にいこう。
最後にこの言葉で締めたいと思う。
みんなAVは買おうぜ。(特に大人)
サシ