STUDY
2018.04.03
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2018.04.03
“所得控除”と言われても、ピンとこないものと思いますが、
簡単に言ってしまえば、
“本来経費にならないプライベートな支出や状況を、特別に考慮してあげますよ”という制度です。
今の所得税法では、14種類の所得控除が規定されています。
みなさん何種類あげることができるでしょうか。
所得控除は、サラリーマンでもフリーランスでも年金世代でも、要件に該当すればみな等しく適用されるものです。
今は該当しないと思っている控除でも、今後該当する年があるかもしれません。
人生で一度は、しかもなるべく早い時期に、どのようなものがあるのかという知識を学ぶ機会を持ってほしいと思います。
左下の、黄色く囲った部分が所得控除欄です。
所得控除は大きく
◆「支出に関わらず状況を考慮してくれるもの」
① 基礎控除 ② 扶養控除 ③ 配偶者控除 ④ 配偶者特別控除 ⑤ 障害者控除
⑥ 寡婦(寡夫)控除 ⑦ 勤労学生控除
◆「支出した場合に考慮されるもの」
⑧ 社会保険料控除 ⑨ 小規模企業共済等掛金控除 ⑩ 生命保険料控除
⑪ 地震保険料控除 ⑫ 寄附金控除 ⑬ 雑損控除 ⑭ 医療費控除
の2つに分類できます。
今回は、全員共通に特段の条件もなく適用される「基礎控除」から取り上げていきます。
健康で文化的な最低限度の生活を送るのに必要な所得には課税すべきではないという考え方から、誰もが一律に38万の控除を受けられます。
現在は誰もが一律に…という取り扱いですが、2020年より大改正が予定されています。
改正の内容は次のとおりです。(平成30年度税制改正大綱より)
「所得控除」というのは、税率を掛ける前の“所得”から控除していくものです。
所得が多い人も少ない人も一定の金額を控除できるので、最高税率の高い方ほど大きな効果がある仕組みになっています。
◇ 給与300万円のAさんにとっての基礎控除の効果
基礎控除380,000円 ×Aさんの最高税率5%=19,000円
◇ 給与3,000万円のBさんにとっての基礎控除の効果
基礎控除380,000円 ×Bさんの最高税率40% =152,000円
高所得者ほど税負担の軽減額が大きいことは望ましくないのではないかという古くからの議論があり、今回それに対応する形で、段階的に基礎控除の金額を減額し、一定以上は消失するという形が採用されました。
生存していればだれでも受けられていた基礎控除ですが、全く適用されない人というのが今後存在することになりそうです。
答えはNOです。しかし、フリーランスの方にとっては、YESだといわれています。
なぜなら、今回基礎控除が38万円から48万円へ増額になる改正は、
一方で給与所得控除・公的年金等控除を一律10万円引き下げるという別の減額と共に、議論された内容だからです。
サラリーマンにとっての概算経費としての位置づけである給与所得控除が10万円減るわけですから、基礎控除が10万円増えたところで、プラスマイナス0ということになります。
しかし、フリーランスの方は、もともと給与所得控除により計算していませんので
基礎控除が10万増額すれば、その分だけ減税になるというわけです。
個別の事情も考慮して、本当の担税力を測るための制度である所得控除ですが、
政策的な側面もあり、かえって公平をゆがめているのではないかという批判もあります。
まず、今ある所得控除を知ることからはじめてみてください。
該当する所得控除の適用はしっかり受けながら、
その効果を実感することで、所得税法が考える”税金を納める能力“を間接的に感じてみてほしいと思います。
順次、現行の取り扱いだけでなく、今後の改正や、素朴な疑問なども織り交ぜながら、一つ一つご紹介していきます。
新卒でコンビニの店舗運営部に入社するも、ハードワークに将来を悩み転職。シンクタンクの財務経理部に入るも、単純作業に心が折れ退職。資格で生きることを思い立ち、経験を蓄積できて様々な方とお付き合いのできる税理士に魅力を感じて会計事務所に就職。
顧問先様の“心地よさ”を重視した節税提案をモットーとしています。隠れ目標は、大事なものを大切にしながら働くことを諦めない業界にすること!
趣味は登山(次注目する山は甲斐駒ヶ岳)、剣道(四段に向けて修行中!)、運転(気になる車はプジョー3008)です。