BLOG
2022.11.22
人はいつでも変わることが出来る。
文:Ape
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2022.11.22
文:Ape
FREEZINE運営メンバーのApeです。
今回の記事は非常に個人的な話になりますが、自身がリーダーを務め、かれこれ20年以上活動しているVery Apeというバンドについて書かせていただこうと思っております。
Very Apeは僕がベース&ヴォーカル、兄がギター、妻がドラムというリアル家族によるスリーピース体制で長いこと活動をしてきましたが、家庭や仕事の都合で兄がどうしてもこれ以上バンドを継続することが難しいという状況になり、何度か話し合いの場を設けた結果、彼は去年の夏にバンドを離れることになりました。
兄の脱退に合わせてアルバムを制作したので、それのレコ発&バンドの20周年祝い&兄のお別れ会の3つの要素を盛り込んだイヴェントを企画し、盛大に彼を送り出しました。我ながらなかなか良い形で兄とのバンド活動に幕を閉じられたと思っています。
それからしばらく、僕はVery Apeに関することを何も出来ずにいました。Very Apeの活動は自分が自分らしく生きていくために絶対に必要なものなので、意地でも続けていこうという気持ちだけはありましたが、あまりにも先のことが見えなさすぎて具体的なアクションが何も起こせなかったのです。
バンドからギタリストが抜けてしまったのだから、普通は別のギタリストをバンドに迎え入れるものだと思うのですが、Very Apeの場合は元々自分の兄がギターを弾いていて、メンバーが全員家族という特殊な絆で結ばれていたので、仮に別のギタリストを招いたとしてもバンドとして過去を超えていくことが出来ないだろうと思いました。なので、取り敢えず残った僕と妻の2人だけでなんとかバンドを新しい形に作り替えていこうと、その方針だけは結構早い段階で決まっていたのですが、2人で出来る新しいことのイメージが全然湧いてきませんでした。
僕がベース&ヴォーカルで妻がドラム、という形態はすぐに思いつきましたが、その編成で僕たちに作れそうな音楽をイメージした時、どこかで聴いたことがあるような、誰かの焼き増しのような音楽しか浮かんできませんでした。しかもベース&ヴォーカルとドラムのツーピースなんて今では特に珍しい編成でも何でもなく、既に格好良いバンドで溢れているので、そこと横並びになっても全然勝てる気がしなかったし、今更自分がやっても仕方ないものだと思いました。
それから色々考えた末に、思い切ってベースを弾くのをやめてヴォーカルとドラムのツーピースとして再始動したら面白いのではないか、ということを思いつきました。これなら自分にしか出来ない新しい音楽が作れそうだと、絶対に面白い結果になるだろうと、なぜか妙な確信がありました。
しかし、そうは思ったものの、実際にこの編成で曲を作ろうと思ってもまず何から手を付ければ良いのか全然分かりませんでした。以前まで僕は曲を作るときに弦楽器のフレーズ(リフと言われるもの)から作り始めていましたが、弦楽器が無いとそれが出来ない。ではどうすれば良いのか。試行錯誤したり現実逃避をしたりしながら、ようやく糸口が掴めたのは今年の春のことでした。そこから怒涛の勢いで作曲を続け、約半年で15曲作り、Very Apeは過去の楽曲を全て捨てて今年の8月に全く新しいツーピースバンドとして生まれ変わりました。
苦労は当然それなりにというか、かなりありました。眠れない夜に一人頭の中で曲を作り、移動中の電車でひたすら歌詞を書き、多い時は週に3回ぐらい妻とスタジオに入り、スカスカすぎるバンドサウンドに慄きながら、それでも自分たちは正しいことをやっているんだと無理やり自分に言い聞かせ、イントロや間奏が無い分歌詞の量が多くなるので、それを暗記するために仕事中や入浴中にずっとブツブツ念仏みたいに自分で書いた歌詞を呟き続けたり、そんな、これまでのバンド経験があまり活かせない苦しい制作期間を経て完成した曲の一部が下記の動画になります。
まだまだ粗削りで恥ずかしいですが、これが今できる僕たちの全てです。他の誰にもできない僕たちだけの音楽をやれているという自負はあります。チェックしていただけたら幸いです。
バンドから兄が脱退し、再構築するまでのこの一連の活動を通して改めて分かったことは、人でもバンドでも挑戦する気持ちとそれを実現しようという強い信念さえ持ってさえいれば、いくらでも変わることができるということです。現状に不満があるなら変えましょう。変わりたいなら今から動き始めましょう。僕のバンドVery Apeも変わることが出来ました。挑戦することは苦しいことでもあるけど、とても刺激的で楽しいです。
Ape
※動画の撮影・編集は過去にFREEZINEでインタビューさせていただいた丸山太郎さんにお願いしました。
丸山太郎 インタビュー | 自分の中にあるものより、与えられるものからのひらめきを信じる。
戦慄のオルタナティヴロックバンドVery Apeのヴォーカル。
バイドク、mizuirono_inu、ロザンナのサポートベーシスト。
東京の端っこの高尾という町に生息。
生業はECサイト運営、プリンタブルTシャツ卸売販売。
AprilFool主宰。FREEZINE運営メンバー。