「コピーライター、ケーキをつくる。」 by 清水 里華　第4回／意を決して、バスに乗る。

新規事業の大筋は見えた。
と思い至り、小躍りしかけた2017年のわたし。
しかし、はたと立ち止まる。

「これって、本当に就労支援施設が直面している課題なんだろうか？」

実際、それまでわたしは就労支援施設という存在を知らなかった上に、働いている方や利用されている方のリアルな声を聞いたこともありません。
どうしたものか。


あ、行けばいいのか。

ということで、とある真夏の昼。
とあるまちの就労支援施設へ突撃インタビューするべくバスに飛び乗ったわたし。

そして、施設の受付の方に開口一番、
「おたくさまの施設の課題を聞かせていただけませんか」
と実にぶしつけ極まりない突撃インタビューを試みた。
すると、心やさしき受付の方から返していただいた言葉は、

「うちには、広告屋ごときに解決してもらう課題など皆無ですことよ」（意訳）


さもありなん。
さすがに事前準備が少なすぎでいかにも怪しいし、こちらの意図も十分に伝わらない。

そうだ。まずは、事業計画書を作ろう。
そして、直接施設へアタックするのではなく、就労支援施設にくわしい区役所の福祉課にヒアリングしようやないか。

しかし、そのときのわたしは知る由もなかったのです。
一介のコピーライターが新規ビジネスを起こすまでには、その先に茨の道が待っているということを。

（次号に続く）

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