COLUMN
2020.11.17
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2020.11.17
ハァハァ、辛うじて酸素を吸えている。
ここは何処だ?
「プールでしょ。」
そうかぁ海じゃないね。
市民プールだね。休みの日は200円で25mを行ったり来たりしていた。
高校生の頃、潜水が好きだった。
「小学生の頃が一番好きだったんじゃないの!?」と奥底の声。
そうだね。何メートル行けるかやってたね。25m折り返したくらいで、浮き上がったね。
高校生の頃はね、女子の足をずっと見てたんだ。自分の亀さんが大きくなってプールから上がれなかったんだぁ。
まだ、藻搔いていた。
フリーター。自由人。FREEZINE。(アピール、アピール!)
まだ世間的にはギリギリ市民権を得ていた。気がする。今考えるとただの甘え。
卒業も迫り、地元にリターンする選択肢も捨て、WWWでアルバイトを検索していた。音を作る仕事はカスリもしない。言われた時だけ作り、聞かせただけでは、到底そのレベルには辿り着けなかった。
音楽流通の末端、円盤販売員を選択。その時の脳は、それしか浮かばなかった。
言葉ではマイナスな発言を沢山発するが、今まで減算に働いた経験はない。全てが糧になりプラスになった。ね。ね、そうでしょ?
まずは赤と黄色の袋の所に行く。思いの丈をぶつける。撃沈。赤と黒の袋の所にアポをとる。返事がない。
面接に来てください。当時、新宿にあった某CD店から連絡があった。白髪混じりの店長に思いの丈をぶつける。
じゃあ明日からこれる?えっーと、はい!
最初のレジ打ちは手が震えた。初めてではなかったはずなのに。店内をウロついていると大抵問い合わせがある。基本はググったが、アタマに残っている記憶から探しているものを説明できた時、小さな幸を感じた。
当時のSNSはmixiだったが、常に承認欲求は色褪せない。ちっぽけな存在を、少しでも。ここで生きますよーと、両手を広げている。
足あとを、リツイートを、いいねを、高評価を求めて。でも、生身の、生の、"Thanks"と"Good"に勝るものは無い。
新宿という土地柄、老若男女、幅広い客が来た。電話での問い合わせも毎日何十件もくる。テンパりながらもこなしていった。
会社の方針で自分が務めていた店舗は途中からほとんどのスタッフが女性になった。
それによっての弊害?が生まれた。
名物おじさんがいた。常連さんのひとりで社内の人間より会社内部の事が詳しかった。
まずは店長と世間話。他店もほぼ回っているから人事もかなり把握している。
その後、オキニの女の子がいると消える。
デパ地下に行き、甘いものを買ってくる。女の子に直接差し入れする。顕著だった。いない時はない。でも、それをバックヤードで食べてるのは自分だとは気づいていない。とてもいい人だった。自分に対しても良く話しかけてくれた、今も元気かな?
帰る際、アイドルの新譜を大量に予約して去っていった。
他人の揚げ足ばかりとるのはこのくらいに。
自分にもオキニの女の子がいた。
帰り道が一緒だったからか、よく話をした。
今度、吉祥寺行かない?と言われた。
うん。そうだね。行こう。と電車の中で扉に背中を付けながらそう答えた。
ありふれた街歩きをした。今はない井の頭線の下に小さなお店が並んでいて。。そこで小さなアクセサリーを買って、差し上げた。
何度かその後もデートかな?と思われる事をした。カッコつけずそのままの状態で接する事ができる人だった。
よし、今日や。ブチまける日を決めた。
いつも通り、電車に乗り。彼女がいつも先に降りる。自分も降りた。駅のホームのベンチに座った。お尻が冷たかった。今まで愛を表す時は、大抵駅が多かった。。
何本も電車が通り過ぎていった。彼女は頷かなかった。渦巻いた。気持ちが。何かが、何が、、ウギャーァー。
手を振り見送られた。電車は歩み出す。
後悔は生まれなかった。経験上、告白が2人の関係性のスタートになる事もある。
ヴィーガン漢達、ゆけ!(何様やぁ)
その後も飲みに行ったり、遊んだり。
2回目のアタッークもダメだった。
販売員を辞めた後も、いちにど会って、
ここで書くかは不明だが、己にカノジョができた後も会って、元スタッフ同士の飲み会で彼女は知り、、
帰り道の電車。少し言葉があり、悟った。
もっともっと自分が漢として磨かれるまで、泳がせていたのだと。違う?
悶々とした気持ちは音にぶつけた。
息をするコトを忘れ、赴くままに。
好きダァ好きダァ好きだぁーーーーー!(闇の叫び)
ライブをしよう!25mを平泳ぎで泳ぎ切り、呟いた。
この想いは水に流されない。続く。