COLUMN

2020.04.28

「コピーライター、ケーキをつくる。」 by 清水 里華 第5回/事業計画書をあちこちでプレゼン。

そうだ。事業計画書をつくろうと思い立ってからおよそ1週間。
ある程度の青写真が描けていたこともあり、それっぽい事業計画書がなんとか仕上がりました。
まずは社内の役員に対してプレゼンしたところ好感触を得られたため、わたしはさっそく実地調査に取り掛かりました。

手始めに、区役所だ。
区役所の福祉課に電話でアタックしてアポを取り付け、できたばかりの事業計画書を片手に突撃しました。

前回も書いた通り、わたしは施設の実際の内情を知りません。
内心ヒヤヒヤしながら事業計画書をプレゼンしたのですが、対応いただいた福祉課のご担当者はとても親身に話を聞いてくれまして、まずは区内でも生産規模の比較的大きめな施設を紹介するのでそちらと直接交渉してみては?とご提案いただきました。

なるほど。このように手順を踏めば怪しまれずに済むのですね。

そこでご紹介いただいたのが、「ホープ就労支援センター渋谷」でした。
渋谷区笹塚でパンと焼菓子のお店「渋谷まる福」を運営されている、障害者就労継続支援A型事業所なのであります。
さっそくそちらの施設に連絡を取り、再びバスに飛び乗ったのでした。

しかしまあこの事業、実際に始めるとなるとご協力いただく施設にかなりのご面倒をおかけする事業内容であるため、受け入れてくださるかどうか甚だ不安でした。

恐る恐る理事長さんと店長さんに事業計画をプレゼンしてみたところ、

「そんなことが実現できたら素敵ですね!」

と実に前向きなお返事をくださったのでした。
うおー!やったー!ありがたい!

よっしゃ、じゃあ次だ。
勢いづいたわたしは、世界的に著名なパティシエである辻口博啓さんが理事長を務めている「日本スイーツ協会」を探し出し、まずはメールでアタックしてアポイントを取り付け、事業計画書を持参してあれやこれやお話させていただきました。

ふむふむ、
・パティシエが開発したレシピを施設の方に完璧に再現いただくためには、ある程度メニューは絞った方が良い。
・保存料は使いたくないので冷凍保存できるケーキが良い。
・冬から春にかけては製菓業界の繁忙期になるため、レシピ開発~製菓指導の時期は夏ごろが良い。
そんな有益なアドバイスをいろいろといただきつつ、辻口さん監修の仮契約を取り付けることになんとか成功しました。

ひとまずお疲れ!なんちゃって事業計画書!

しかし、そのときのわたしは知る由もなかったのです。
一介のコピーライターが新規ビジネスを起こすまでには、その先に茨の道が待っているということを。

(次号に続く)

PROFILE

清水 里華(シミズ リカ)

都内の広告会社に勤めるクリエイティブディレクター兼コピーライター。
ときには、戦慄のオルタナティヴロックバンド「Very Ape」でドラムを叩き、ときには、WEBメディア「FREEZINE」で企画+取材+構成+イラストを担当。
2019年より、クリエイティブの力で社会課題に挑む新規事業「Lashisa(らしさ)」を立ち上げ、手探りで運営している。

Very Ape

Lashisa

Lashisa(らしさ)とは?

クリエイティブの力で、もっと社会にしあわせをーーー。

「Lashisa(らしさ)」は、障がい者の社会参加を支援する就労支援施設における賃金アップという社会課題を解決するために、広告会社「原宿サン・アド」が立ち上げた新規事業です。
一般社団法人「日本スイーツ協会」の代表理事である辻󠄀口博啓氏の監修のもと、糖質オフ&グルテンフリーなプレミアムスイーツを開発し、渋谷区の就労継続支援A型の施設「渋谷まる福」に製造委託。
原宿サン・アドのクリエーターが手がけるパッケージとECサイトで販売いたします。
高付加価値な製品の開発・販売を通じて、就労支援施設の賃金アップに貢献します。 

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