FEATURE

2021.03.30

Jの人生の転機になった10の音楽

FREEZINEが選ぶ「人生の転機になった10の音楽」シリーズ。
第8弾は、イラストも描くハードコアドラマーXYZALのJ!

もしもその音楽と出会っていなければ、いまの自分はない。人は誰しもが、そんな人生の転機となった音楽を持っているもの。そこでこのコンテンツでは、各界のFREEZINEたちに、自分史上において転機となった10の音楽を選んでもらい、当時のエピソードと共に紹介していただきます。選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。

電気グルーヴ『KARATEKA』

テクノバンド、電気グルーヴの3rdアルバム
おそらく自力で手に入れて再生した初めての音源であり、この1枚をきっかけにCDを聴くようになる。
それまではCDというものに対しモンスターファームで円盤石再生する物体という認識しかなかった。

小学生(3年生くらい?)の頃、音楽好きだった兄貴の影響もあり、図書館でCDを借りる事にした。そこでたまたま選んだのがコレ。
思い返すとこんなもん図書館に置いとくなと言いたくもなるが、今聴くとやっぱルーツはこれだなぁと無駄に納得してしまう。
お気に入りは4曲目の「人事を尽くさず天命を待つ」ネガティブな事を明るくヘラヘラ言う癖は電気の影響か

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KORN『untouchables』

アメリカのロックバンド、KORNの5thアルバム
前述の通り電気グルーヴからCDを聴くようになり、テクノポップを好んで聴いていたが兄貴の影響でこの辺りの洋楽を聴くようになった。
兄貴がブックオフかなんかで買ってきたアルバム。

読み込み面にカビが生えており2曲目までしか再生できなかったが、その2曲(here to stay と make believe)がカッコよかったので何度も聴いていたら、カビが削れた?のか全曲再生出来るようになったフシギなCD。
お気に入りはカビが削れるまで兄貴と聴いた1曲目「Here to stay」

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殺害♀スクリームコンピ『発禁流出3』

日本のインディーズレーベル殺害塩化ビニールから出されたオムニバスCD
電気グルーヴを聴いていたガキが中学生になると、それはそれは色々と拗らせており、マイナーこそが至高!などとほざき、なんやかんやでこのCDを入手する。
「ぐしゃ人間」「ソープランド揉美山」「ヒゲと味噌汁」「アナアキイズ」「駄菓子菓子」5バンドの音源が収録されていた。

アナアキイズは現在活動休止らしいが、メンバーの2人とは仲良くさせてもらっている。(HAIGANボーカル黒柳卍子さん、デッドバンビーズGt/Vo.のチャックさん※)
アナアキイズに限らず、当時音源で聴いていた先輩方と図らずも今現在同じ界隈に居合わせているのは感慨深いところがある。
エモいどころではなく、少しキモいのである。

お気に入りは5曲目、アナアキイズの「牧師のチンコ・ギロチン・DIE!!!」

※チャックさん、アナアキイズでは「滝川クリトリス」名義らしい。狂っている。

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たま『さんだる』

日本のバンド、たまのメジャー1stアルバム
中学生の当時不登校だった自分は、1日の半分ほど家で3ch(NHK教育テレビ)を観て過ごしていた。

NHKみんなのうたの再放送で「そんなぼくがすき」という曲が流れてたまを知る。
曲調は明るいようでどこか不穏な感じが気に入り、図書館に行って探したらこの「さんだる」があったので借りた。(こんなもん置いとくなと思う)
たまを調べていく流れでイカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)を知り、自分の産まれる前の日本のバンドを沢山知ることが出来てラッキーだったと思う。NHKとネット環境に感謝である。

お気に入りは6曲目「どんぶらこ」いや5曲目の「学校に間にあわない」かな、学校行ってなかったけど

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RHYMESTER『HEAT ISLAND』

日本のヒップホップグループ、ライムスターのメジャー4thアルバム
高校上がるぐらいに嫁さん(当時彼女)から借りてこれを聴き、日本語とラップの相性が良いという事に気付く。

タイトル曲の「HEAT ISLAND feat.FIRE BALL」が「モノノ怪」という深夜アニメに使われていて気に入ったらしく、オススメされた。
このアルバムはfeat.、俗に言う客演が多くFIRE BALLやScoobie Do等、HIPHOP以外のアーティストも参加しており、これキッカケで聴き始めたアーティストも多い。
ラッパー同士がお互いの楽曲で混ざりやすいとはいえ、HIPHOPには横の繋がりが強く根付いているように見えるし、リスナーからすると掘りやすいので助かる。

3曲目「逃走のファンク」宇多丸の歌い出し
「あの半島の方に核弾頭 足元に沢山の活断層」とある。韻をa,u や an,o-で合わせつつ現代日本に迫る問題を端的に言い表していてナイスである。

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Rage Against The Machine『Rage Against The Machine』

アメリカのロックバンド、レイジアゲインストザマシーン(以下RATM)の1stアルバム
RATMは中学生の頃に兄貴の勧めで3rdアルバム「The Battle of Los Angels」を聴いていたもののピンと来ず、裏ジャケの各メンバーの表情が面白いなぁ程度にしか思っていなかった。(タイムスリップしたらその頃の自分を殴る)

高校生になり、友人宅でMTVをみているときにRATMのライブ映像が流れ、ぶっ飛んだ。
急いで帰宅して再度3rdアルバムを聴き、ぶっ飛んだ。
何故もっとRATMをお勧めしなかったのかと兄貴を問い詰めたら蹴られた。そしてこの1stアルバムを買いに行き、聴いた。
ぶっ飛んだ。
和訳の歌詞を読んでみても、世代でもなければ学もない自分には当然理解できなかった。
でもこの人達は本気で怒っているんだなと感じた。
それまではただ楽曲を聴いてノっているだけのアホだった自分が、音楽には様々な側面があり、それぞれの哲学や思想が絡んで演奏をしているという事を学んだのであった。

お気に入りは2曲目「Killing In The Name」
空耳アワーで話題になったが、その話しかしないヤツは嫌いだ

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thee michelle gun elephant『ギヤ・ブルーズ』

日本のロックバンド、ミッシェルガンエレファントの4thアルバム
高校2年生の時、なんやかんやでバンドに誘われ、ドラムを叩きはじめる。
自分をバンドに誘ってきたギターのヤツが気に食わなかったので殴り、解散。
その後、ある友人からこのCDをお勧めされ自分が14曲目「ダニー・ゴー」をひどく気に入った事で意気投合。
ミッシェルガンエレファントのコピバン的なやつをその友人と組み、卒業までの約1年間を楽しんだ。

おそらく自分がこのアルバムを聴いていなければ、「ダニー・ゴー」を気に入ってなければ
ドラムを辞めていただろう。
バンドを組むこともなかっただろう。
そしてライブハウスで出来た繋がりからこの記事を書くこともなかったのだろう。
と思うとエモいどころではなく、キモいのである。

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GAUZE『面を洗って出直して来い』

日本のハードコア・パンクバンド、ガーゼの4thアルバム。
高校生の頃、パンクロックという音楽の受け止め方が前述のRATMを聴いたことで変化し、ディスクユニオンでハードコア・パンクを掘り始める。
RATMのVo.Zackが在籍していたinside outから入り、アメリカのハードコア・パンクを聴き始める事にした。
カッコいいバンドを多く見つけてぶっ飛んだが、いかんせん英語がわからないという事で、日本のハードコア・パンクを聴こうと思った。

ディスクユニオンにて、ジャケがイカしていたこの「面を洗って出直してこい」を適当に選んで聴いてみる事にした。
イヤホンを耳に突っ込み、再生ボタンを押す

全10曲、再生してから終わるまでの16分間、身動きが取れなかった。
脳が沸騰して、汗が吹き出した。
なんだこれは!ふざけるな!義務教育に組み込め!と心から思った。衝撃だった。
自分なんかが産まれるずっと前から今に至るまで変わらず活動し続けるGAUZE。ハードコア・パンクバンドこそが日本が世界に誇れるものだと思っている。

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54-71『i'm not fine, thank you. and you?』

日本のバンド、54-71の7thアルバム
バンドを組み楽器を演奏するようになると、誰々のギターが凄いとかそういう話をされるようになる。
ドラムを始めてからバンドサウンドへの理解が深まったのは確かにある、どういう音がどこから出るのかくらいはわかるようになる。
しかし所詮、技術がカス同然の自分がそんなところにこだわっても仕方ねえしよくわからんと思っていた。
そんな時期に、ギターをやってるヤツ(のちに殴ったやつ)がMIYAVIの映像を観せてきた。
これやばくない!?みたいな感じで

あー、ギターで?スラップ?知らん知ら…いやドラムかっけえなドラム。となった。
その映像でMIYAVIの後ろで叩いていたのが54-71のドラマー、BOBOだった。
当時既に活動休止していたが、すぐさま54-71のアルバムを探し、購入した。
54-71、楽器隊が音を押し引きしているというか、鳴ってないとこで鳴らすみたいな、タイトというか、その上で絶叫するボーカル、よくわからんがかっけえ!となった。

はたしてドラムをやってなくてもかっけえ!となったかどうか、リスナーとして幅が拡がっただけでもドラムやってて良かったと思う。
お気に入りは3曲目「cosmetic overkiller」

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NICE VIEW『THIRTEEN VIEWS WITH NICE VIEW』

ハードコア・パンクバンド、ナイスビューの1stフルアルバム
今まで聴いた中で1番好きなCDを出せといわれたら迷いなくこれを出すだろう。マイベストフェイバリット音源である。
高校生活の最後の方、前述のGAUZEを聴いた事をきっかけに国内ハードコア・パンクバンドを掘っていた頃、youtubeでKAIKOO POPWAVE FESTIVAL 2010でのNICE VIEWのライブ映像を観た。
爆裂しながらもグルーヴィなハードコア・パンク!最高じゃないか!となり、このCDをすぐさま購入した。

1曲目、introとしてわちゃわちゃした音が流れ、2曲目「崖っぷち」がドラムの突発的なカウントで爆裂!
そこからアルバム全体が静からの爆裂からの静からの爆裂からの「NICE VIEW」である。自分は大気圏を突破し、成層圏を見下ろした。
自分はこのアルバムを聴いた際に宇宙までぶっ飛んでから未だ着陸出来ないままなのである。

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改めて「人生の転機になった10の音楽」を選んでみて。

色々悩んだけど、なんとか10枚選べてホッとしてます。CD達を引っ張り出して自らの人生を振り返ってるような気持ちになって、キモかったですね!

プレイヤー以前にまずリスナーなので、これから先もっとカッコいい音楽に出会い、地球に戻ってこれる日を楽しみに生きております。
ありがとうございました!

PROFILE

J

1994年生まれ
2ピースバンドXYZALのドラム。都内で活動中。
その他ハードコアノイズバンド「HAIGAN」ハードコアポエムデュオ「A"サ」等に参加したりしなかったりしている。
「31AH」という名義でイラストを描いたりもしているネコ好きでモヒカンの成人男性。高卒

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