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2018.06.14

癒し系税理士アカギのもう怖くない!税金のちょっといい話 第10回/配偶者と死別・離婚した場合の控除

前回の扶養に関する控除に引き続き、”個人の特別な事情“を考慮してくれる控除として、寡婦控除・寡夫控除をご紹介します。

バツイチ、未亡人、シングルマザーなどと言われることはあっても
寡婦・寡夫(かふ)という言葉はあまり用いられませんので、意外と知られていない控除の一つだといえます。

お勤めの方は、会社から年末に配られる「扶養控除等申告書」にしっかり、「寡婦(寡夫)です!」と書かないと、よっぽど親切な経理さんでなければ、デリケートな内容なだけに、記載もれの確認はされないまま年末調整が行われてしまいます。
確定申告もしかり、自分で寡婦(寡夫)控除欄に記載しない限り、人が指摘してくれることはありません。
該当する方は、自分自身がしっかり「私は寡婦(寡夫)控除の適用がある!!」と思っていないと、控除がもれてしまいます。

寡婦・寡夫の方は、いくつかの要件に該当すれば、次の控除が受けられます。

〇 寡婦控除(女性)

〇 寡婦控除(男性)

上記を踏まえ、次の方はどのような控除が受けられるか検討してみましょう。

≪事例≫
Aさん 36歳の女性。夫とは離婚。小学生の子供が一人。所得は年間で800万。
Bさん 80歳の女性。夫とは3年前に死別。扶養親族なし。不動産所得が400万。
Cさん 24歳の女性。夫とは離婚。子供はいない。所得は年間で350万。
Dさん 50歳の男性。妻とは死別。小学生の子供が二人。所得は年間で600万。
 
≪Answer≫
Aさん 一般の寡婦に該当。所得税・住民税合わせて、約89,000円程度の控除。
Bさん 一般の寡婦に該当。所得税・住民税合わせて、約81,000円程度の控除。
Cさん 控除なし。
Dさん 控除なし。

死別と離婚で取り扱いが違う

死別の場合は、所得が500万円以下でありさえすれば、子供を扶養していなくても、一般の寡婦になれます。(Bさん)
でも、離婚の場合は、扶養親族がいなければ、何ら控除はありません。(Cさん)
死別は突然起きるから、いきなり働けといわれても困るだろう、
でも、離婚はある程度準備してから自分の意志でしているでしょう、ということなのでしょうか。

男性と女性で取り扱いが違う

女性の場合、いくら稼いでいようとも、扶養している子供さえいれば、一般の寡婦に
該当します。(Aさん)
一方、男性の場合は、所得が500万を超えた時点で、子供を扶養していても何の控除もありません。(Dさん)
厚生労働省が行った、平成28年度の全国ひとり親世帯等調査の結果によると、ひとり親世帯の母親自身の年間の平均収入は223万円なのに対し、男性は380万円。
この収入が給与だとして所得に換算すると、それぞれ138万、250万になります。
全体の傾向としては、確かに男女差は存在していますが、所得が低い男性もいれば高い女性もいます。税法は、所得による基準以前に、「男女の差」を先に捉えています。

未婚の母にはここでも冷たい

事情があり籍を入れないいわゆる未婚の母と言われる方たちには、所得税・住民税では何ら控除はありません。
自治体によっては、別の形で援助制度を設けているところもあります。
例えば横浜市では、婚姻していないひとり親についても、所得税の寡婦(寡夫)控除の“みなし適用”により、保育料が軽減される取り扱いがあります。(別途手続き必要)

この寡婦(寡夫)控除、みなさんはどう考えるでしょうか。

PROFILE

影近・前田税理士法人
赤木葉子

新卒でコンビニの店舗運営部に入社するも、ハードワークに将来を悩み転職。シンクタンクの財務経理部に入るも、単純作業に心が折れ退職。資格で生きることを思い立ち、経験を蓄積できて様々な方とお付き合いのできる税理士に魅力を感じて会計事務所に就職。
顧問先様の“心地よさ”を重視した節税提案をモットーとしています。隠れ目標は、大事なものを大切にしながら働くことを諦めない業界にすること!
趣味は登山(次注目する山は甲斐駒ヶ岳)、剣道(四段に向けて修行中!)、運転(気になる車はプジョー3008)です。