COLUMN

2024.03.19

「文系恋人放浪中」by 赤城文 第16回 /切ないという気持ちは蝶のよう

切ないという気持ちは「辛い」や「悲しい」の中に、凄く素敵な思い出や感情が大きく寄り添っている傍、どうしようもできない結果に辿り着いてしまった儚さを切ないと呼ぶ事に気づきました

悲しみや辛さとは全く別物だと肌で感じた時に、切ないという感情は長い人生の中であまり味わうことのできない特別であり大切な感情だと思いました

私は自分が共感できるかどうかに重きを置いて音楽を聴いたり本を読むので、作品の中で主人公が不憫な思いをしていても昔や今の自分と近い状況だなぁと思ったり、じゃあこの先私はどうしていこうと考えたり、作品が今の辛い自分に寄り添ってくれている事が側で誰かが共感してくれているような安心感を覚えるのですが、

「切ない」と感じる事はあまりなかったです。

悲しみ、苦しみ、辛さ、怒りは私の中で別々のものとして分散されており、一個一個の物事や感情を冷静に整理して今後を考えていきたい人間なのですが

「切ない」はかなり素敵な表現なので抵抗がありました。

久々に去年のエレクトリックリボンのワンマンの映像を見返していて「Ribbon」が流れてきた時に、私はこの時に凄く切ないと感じた事を思い出しました。

卒業の申し出をしたワンマンライブ開催の数ヶ月前に最後の現体制の新曲として「Ribbon」のレコーディングをした際も切なさを覚えたのですが、後に頂いたribbonのデータを聴いていた時がちょうど自分の生活も変わるタイミングでもあったので

「自分の未来の為に行う大事なものとのやむを得ない決別は、強がる隙もないぐらい思い出含めて全てが儚い」

と感じました。
そしてワンマンライブの日を迎えた時に卒業を知った上で、全員が終わりたくないと思っている上で、いつも通り楽しくライブをする事や、いつも通りもしくはそれ以上でいたいと思っているみんなの表情全てが愛おしくも美しくて切なかったです。

楽しい時は一瞬という言葉がありますが、それが実際に自分の身に起こると、こんなにも切ないと感じるものだと初めての体験をしました。

胸が締め付けられて泣く事も戻る事も許されないような感覚でした。

心の底から笑った思い出をお互いに抱えながら、将来の為に飛び立つ儚さは蝶のように脆く美しいが故に切ないです

登場人物が全員悪人で傷つけ合って最悪な気持ちになって嫌なお別れをして、お互いが嫌いになって、互いに影で悪く言い合う方がバッドエンドに見えますが、私にとっては潔くて、本来向き合わなくてはならない切なさがなくてまだこっちの方が良いと思ってしまいます

後悔しない事を大事にしながら生きているけれど、その時その時を楽しく生きようとするのは、いつか終わりが来た時にあまりにも美し過ぎて私には辛いです

だから今後、物事や人間や環境やさまざまなものとお別れをする際は思い出と同じぐらい最高なお別れをしたいです。
これは振り返った今、エレクトリックリボンでの卒業から学びました

ファンの皆様も今後私の環境が変わって、その度にライブなどでよく会っていたファン友達と離れるのが辛いと感じたら交流は続けてください。
たとえ私がいなくなっても私が繋いだ友情とはいえ、そこでの発展は皆様自身が生み出した大事なものなので。

何かと別れる行為が辛い方は私以外にも沢山いると思う。

それでも次に進みたいと思う私もあなたも本当に素敵だと思うから、自分をより良くする為の前向きなお別れをした自分を心底肯定する

たまに振り返ったって良いし、それは未練でも執着でもない気持ちを整理している過程だったり、むしろ整理がついたから振り返れるという成長した証です。

物事に向き合う全ての人に幸せを

PROFILE

赤城 文(アカギ アヤ)

2000年11月28日生まれ 東京都出身
アイドル・文筆家として活動中。

セルフプロデュースアイドルグループ「ミレディ♡チャーム」のドールレッド担当で主に作詞と振り付けを行なっている。
バンド「いばら姫」のボーカルとしても活動中。

ロリータ通販RonRonにてコラム「kawaii通信」連載中

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