FEATURE

2021.01.19

sashiの人生の転機になった10の音楽

新企画!FREEZINEが選ぶ「人生の転機になった10の音楽」スタート!
記念すべき第1弾は、FREEZINE編集長でバンドmizuirono_inuリーダーのsashi!

もしもその音楽と出会っていなければ、いまの自分はない。人は誰しもが、そんな人生の転機となった音楽を持っているもの。そこでこのコンテンツでは、各界のFREEZINEたちに、自分史上において転機となった10の音楽を選んでもらい、当時のエピソードと共に紹介していただきます。選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。

NEWBORN『discography』

井の中の蛙、出る杭は打たれる、上には上がいる。
この3種の神器を痛いほど味わいたどり着いた処世術は無気力のふり。
僕の高校生の時だ。
口癖はダリい、めんどくせえ。本当にそれしかしゃべってなかった気がする。
そんな鬱々とした少年をぶっ飛ばしたのがハードコアと呼ばれる音楽だった。
それ以来オールドスクール、ニューススクール、カオティック。色んなハードコアバンドを掘っていた中で1番刺さったバンドがハンガリーのNEWBORNだ。
疾走感、音の重さ、初期衝動、展開、声質、シンガロングすべてのバランスが素晴らしい作品。
この10枚の中でもダントツアンダーグランドな作品だがまじでおススメ。

Aphex Twin『Windowlicker』

出会いは18歳。コラムにも登場した自動車免許合宿で知り合った先輩におススメされて買った作品。
レコードプレイヤー捨てた今もとっといている唯一の盤。そして音楽を真剣に聞き出すきっかけになった曲だ。
だりい、めんどくせえが口癖だった自分にこの奇人ぶった紳士は最高にかっこいい反抗の仕方を教えてくれた。
この曲のMVもまじでクールに狂ってて大好き。この出会いから色んな音楽を真剣に掘り出した。
当時は音楽をやっていてAphex TwinやSquarepusher聞いていないやつは堕情なクソだと思っていた。今は全く思っていない。
そして今はMassive Attackのほーが好きだ笑

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KOЯN『Who Then Now?』

僕の若いころは聞いてる音楽と服装とか見た目が割とリンクしていた。
ユーロビートはギャル男。コア系はストリート。メタルはオタク。ブラック、グラインドは獣姦とかで抜いてそうな変態。
HR/HMはお爺さん。R&Bは強めのギャル。V系はゴスヒラヒラ。
とまあ酷い偏見の塊だが、。僕が初めてこのバンドみたいになりてえ。と強く憧れたバンドがkorn初期だ。具体的には4THのISSUESまで。
曲もそうだがファッション、メンバーのバカ仲間感等のライフスタイルが刺さりまくりこんな生活を送りたいと憧れたなあ。
このビデオを擦り切れるくらい見たし、しつこいくらいカズに見せた記憶が。

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Bjork『Homogenic』

高1の頃付き合っていたミキちゃんにおススメされたが当時音楽チンパンジーだった自分には全く刺さらず忘れかけていたころ。
先述のAphex Twin、kornとの出会いからあらゆる音楽雑誌を購読しケーブルテレビを契約しMTVを1日付けっぱなしの音楽アンテナビンビンの頃にAll Is Full of LoveのMVを見てなんて美しいんだと衝撃。今でも1番好きなMVかもしれない。
そして初めて恐ろしい怖いと思った女性がBjorkだ。どんな人間か全く予想できないからだ。
Bjorkが空港で息子の写真を撮ろうとしたレポーターに殴りかかった事件も大好き。

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Hope of the States『Lost Riots』

これとの出会いは多分20代前半かなあ。Black Dollar Billsって曲は人生でbest3に入る曲だ。
当時クズな生活を送っている中でこの曲を聞いている時だけ救われている気がした。最後のリフレインが汚い金を捨ててバラまいているように聞こえるんだよね。
自分がやっているバンドmizuirono_inuのplastic bag という曲のリリック「期待外れの僕たちは寄り添って生きる。期待通りの笑顔をあげる」。
これは彼らの歌詞「we are the hopeless mistakes,side bay side」への愛だ。

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Syrup 16g『動脈』

Syrupの名前は聞いてたんだけど、なぜか意識的に邦楽は避けてる時期があって。けどメンヘラはみんな好きだからどんなもんかと聞いてみたらドはまり。
僕の見解では五十嵐氏は全くメンヘラではないけどね。
Syrupは共感できる歌詞が多すぎ。中でも僕のこと言ってね?と思ったのは「汚れたいだけ」。
「She was beautiful」の男のクソダメロマンティックな曲も大好き。
書いてて思いだしたが、changeって曲で「ノルウェーの森はロマンティック手コキだった」ってリリックを真面目に書いたんだけど却下された笑
Syrup 16g は日本語の歌詞の可能性を知ったアーティストだ。聞いた以降自分の書く歌詞がガラッと変わった気がする。リアルな弱さを曝け出せるようになった。

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Envy『ALL THE FOOTPRINTS YOU'VE EVER LEFT AND THE FEAR EXPECTING AHEAD』

自分のやっているバンドmizuirono_inuの自由の結果のリリック、【「君の靴と未来」何かに気づけた気がした。】の1節はこのアルバムのことだ。
よく僕は自分の若いころをクズと揶揄するが、音楽が人生の中心だったのだ。それ以外はどうでもよかった。
そしてそのど真ん中にいたアルバムがこれだ。
SEXした女の子にEnvyをバカにされてマジギレした事もあるくらい心の中心だった。まじでごめんなさい!

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X JAPAN『Jealousy』

中1の時。テンプレートのようなヤンキーXファンの桃ちゃんになぜか貸してもらった。
当時篠原涼子とマッキーをヘビロテしてた僕は衝撃を受けてめちゃくちゃ聞いた。バンドってものに興味を持ったきっかけだ。
余談だが僕の10代後半~20代はいかにアングラな音楽が好きか、知ってるか等のマウンティングの取り合いみたいな事があった時代。
ミーハーなとこを言えば小馬鹿にしたりするような空気感が本当に存在していた。
そんな中Xが好きですなんて恥ずかしくて言えなかったが、今は余裕で言える。サイレントジェラシー大好き(^^)

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matryoshka『zatracenie』

20代後半くらいかな、出会ったのは。以前やっていたバンドからまともなメンバーが就職や家庭の事情で抜けて。
残った奴はマジモンのクズ3人。さあどうすっかって時に出会ったアルバム。
僕は基本的にゴシック的な感じや悪魔崇拝感が苦手なのだが不思議とこのジャケは好きで買ってみた。
曲も大好きで今でも聞いている数少ないアルバムなのだが、自分にとって大きかったのは
こーゆーのなら僕でもつくれるんじゃね?と壮大な勘違いをさせて貰ったこと。
語弊は100も承知だが、Matryoshkaはパンクと同じくらいシンプルなのだ。だけど質感とセンスとバランスで素晴らしい作品になっている。
僕はそーゆー奇跡的なものが大好きだった。
そして自分でDAWを始めて今のmizuirono_inuに繋がる。
Matryoshkaさま大変失礼しました、まったくつくれません!!でもありがとう。

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globe『FACES PLACES』

音楽、金、好きな女、やりたい事全部詰め込んじゃう小室哲哉。狂った時代のアイコンなんだろう。
高校生のころは単純にいい曲だなーと思って聞いていたが今聞くとまたすごいのであえてランクイン。
小室哲哉の私欲とビジネスと純粋なものが混じったスーパーケミカルな作品。
聞けば聞くほど小室哲哉の今興味ある音楽がコピーされていて、またそれがちょっとダサくて癖になる笑
それをいいと感じる自分の感性は捨てたくないものだ。

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改めて「人生の転機になった10の音楽」を選んでみて。

本企画の「選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。」
これはマジでそう思う。さすがリカさん、言葉にしてくれるねー!

でも逆にこーゆー風に見られたいってアーティストを選ぶこともできるわけよ。
インテリ~音楽偏差値高そう~!センスいい~!抱いて~!なんて思われたいならこのアーティスト選んどけってね。
が、ちゃんとテーマに沿って正直に選びました!

振り返ると僕のターニングポイントは18歳だったのかな。
音楽に目覚めてからDOLL、スヌーザー、クロスビート、グラインドハウス等音楽雑誌を貪るように愛読し各紙の編集者、ライターの好みまで把握するくらいリスナーとしてオタだった事を思い出した。そしてオタは偏って狂った選民思想的になった時期もあった。
そのころはなめたJPOPやアイドルを聞くやつは本気で頭がおかしいと思っていたし、それを本人に直接言葉にもしていた。おかしいのは僕だった。

まあそれくらい音楽というものは人生に影響を及ぼし、強烈に素晴らしいが危ういものでもある。

ただあくまで音楽は音楽。何かを聴いたから何かになれるもんじゃない。
いまはうまく付き合えてる気がするよ。

若いころの感度ビンビン吸収力抜群の頃に戻りたいと思う事もあるが、こればっかりはやり直せない。
選んだ10枚が精神的な哲学として根付いてしまっているからね。


次回はFREEZINEの頭脳、Very Apeの酒乱、Lashisaの頭領、エンジェル投資家のリカさんです!
どんなん出てくるかお楽しみに(^^)

PROFILE

sashi(サシ)

メディアサイトFREEZINEの代表。音楽集団mizuirono_inuの作詞作曲家。

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