BLOG
2023.08.22
広告の競合プレを廃絶せよ!
文:清水 里華
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2023.08.22
文:清水 里華
「広告の競合プレ」=広告制作を志した若者を抹殺しうる、最悪のパラドックスである。
私自身も、広告制作者のはしくれとして、これまで何度も参画し、なんならウン千万円規模の仕事を獲得したことも多々。でも、競合プレによる精神の破壊っぷりはエグい。
考えてみてほしい。
我々のような名もなき広告制作者は、お題に沿ってアイデアをゼロから生み出し、休日もぶっつぶしてひたすら頭をもやもやさせて、何案も作っては捨てて、行けそうな案を練り上げアウトプットし、そのクオリティを時間の許す限り、圧倒的に高めます。それが仕事だから。
だけどさ、「実は出来レースでした!」とか、「メディア(CMオンエア枠)をいかに安く買えるかで決まりました!」とか、そんなしょうもない業界事情を背負ってるのも、競合プレ。
プレ作業で満身創痍の広告制作者の立場から見たら「なんじゃそら」である。プレで敗退したら、苦心の末に生まれたアイデアがすべて大海の藻屑となり、何もなかったものとしてこの世から抹殺されるんだよ。あまりにも報われない。
しかも、アイデアを無断でパクられることもある。とある著名クリエイティブディレクターの所業を、私は永遠に許さない。
そして実は、クライアントにとっても、企業の哲学を代弁する語り部をコロコロ変えるのはむしろ損失。百害あって一利なし。
だから絶対に競合プレには近寄りたくない。そして、これから広告制作を志す前途有望な若者にも、こんな思いは絶対にさせたくない。
そんなこんなで、
「競合プレ廃絶」
年老いた広告制作マンである自分の果たすべき使命は、もうこれしかないのかもしれない。
が、直近での抜本的な業界改革が難しいのはわかっているので、せめて身近な人を巻き込まない防波堤として何ができるかは探っていきたい。(弱腰)