COLUMN

2019.10.26

「よく描き、たまに書く」by kubo 第13回/道具の話2

こんにちは、凹(kubo)です。
フリーランスのイラストレーターです。

前回の「道具の話」が意外と身内で好評だったので、今度はソフトウェア系に焦点をあてて紹介していこうと思います。

イラスト制作には「CLIP STUDIO PAINT EX」

CLIP STUDIO PAINT
https://www.clipstudio.net/

私が初めて買った時、まだこのソフトウェアは「新参」で、あまり使っている人は多くありませんでした。

絵描き界隈はあまり目新しいツールに飛びつきにくい風潮で、いったん「大御所」になったツールはその後もずっと大御所、というイメージ。
やはり使い慣れているツールの方が使っていてストレスが少ないですものね。

私も、最初は盤石に当時ナンバーワンシェアのツールを買おうと思っていたのですが、ふと気になって調べたところ見つけたのがこのソフトでした。
個人の比較記事なんかも参考にして、ちょっと冒険のつもりで買いましたが、成功でした!
いまや「絵描きと言えばクリスタ」と言われるほどの定番ツールになっています。

初めは比較的安価な5,000円の「PRO版」を使用していましたが、使用感に大変満足し、さらに高機能で使いたくなったので、今は23,000円の「EX版」にアップグレード済です。
それでもプロフェッショナル向けツールとしては破格だと思います。一度購入が済めば、その後のアップデートはすべて無償で享受できるのも嬉しい。

グラフィックデザインには「Adobe Illustrator CC」、「Adobe Photoshop CS6」

Adobe
https://www.adobe.com/jp/

グラフィックデザインと言えば、今も昔もプロ用ソフトはAdobe一択ではないでしょうか。
業界スタンダードである「.ai」「.psd」は、いずれもAdobeソフトウェアの独自フォーマットですから、なかなか他ツールの入る余地はありません。
(でも実は…前述したクリップスタジオはpsd拡張子でのエクスポートが可能です。ありがたい!)

使用感もさすが王者の風格と言った感じで、アマチュア時代からいろいろなソフトウェアを使ってきましたがやはり個人的にAdobeに敵うものはありません。

以前は「ソフト買い切り型(Creative Suite、通称CS)」だったAdobeのツールですが、今は月額使い放題の「クラウド型(Creative Cloud、通称CC)」になりました。今時のスタイルですね。
私は、デザイン業務では「Illustrator CC」をメインに使いつつ、写真補正の時だけ「Photoshop CS6」を使っています。

Photoshopも最新のCCに乗り換えたらきっと感動できるんでしょうけれど…払う月額が倍くらいになるので…。
収入の安定しないフリーランスには厳しいモノがありますね。

webコーディングには「Sublime Text」

Sublime Text
https://www.sublimetext.com/

webデザインは、サイトの見た目を描いただけでは終わりません。
実際にクリックやマウススクロールで動作するように、htmlコードを書いたりプログラミングを行ったりする「コーディング業務」が発生します。
これに関しては、究極な話、PCに最初から搭載されている「メモ帳」で間に合ってしまいます。
(開発環境を整えるのも意外と簡単ですし、基本的に無料でできてしまうので、興味があったらぜひ勉強してみてください)

また、コードの文法間違いを指摘してくれたり、よく使うプログラムをワンタッチで入力できたりと、ちょっとリッチな機能を兼ね備えた無料ツールも充実していて、私も以前はそういった無料ツールを利用していました。

でも、つい最近この「Sublime Text 3」という有料ツールに出会ってからは、迷わず乗り換えました。
プラグインを利用することでいくらでも機能を強化できるので、自分好みにツールを育てられますし、非常に流れのはやいweb業界のスタンダードにも適応しやすい。
なんといっても、UIが洗練されていてオシャレなので、使っていて楽しいです(モチベーションは大事です)。

値段はUSDで80ドル(記事執筆当時)。
機能制限のないフルバージョンを無期限で試用可能という、非常に太っ腹なツールです。
(有料版を購入するまでは、たまにファイルセーブの時「購入しませんか?」という案内が出るだけ)
私は、試用状態で案件をまるごとひとつ完走して、納得の上で購入しました。
どちらかというと「購入」というより「寄付」という感覚ですね。

欠点は、日本国内では少しシェアが小さめなので、行き詰った時に検索しても日本語の記事が見つかりづらいことでしょうか。
自分の理想の作業環境にするにはすこし根気が必要です。

イラストの「アタリ」などにこれから使っていきたい「blender」

blender
https://www.blender.org/

2Dの絵を描けるクリスタとは違って、こちらは3Dポリゴンを作れるソフトです。
こちらに関しては、実はまだ「使っている」とは言いづらいですね。
まだ全然使いこなせていなくて…「使っていきたい」が正しい表現です。

建物の中など「空間」を意識したい絵を描くとき、大抵は「パース線」と呼ばれる、遠近感を計算するための補助線を引いて、背景を描いていきます。
クリスタにも便利なパース定規ツールが備わっています。

ただ、この時、3Dソフトでささっと室内などのモデルを作ることができれば、カメラアングルをグルグル回すだけで様々な構図をスピーディーに吟味できるな~と思い、見つけたのがこちらのソフトでした。
光源(照明や太陽など)の位置もドラッグアンドドロップで直感的に動かせるので、明暗の構図も同時に検討できるのが素晴らしい。
できあがったポリゴンは、.fbxや.objといったフォーマットで吐き出せばクリスタでも読み込めるので、ある程度形ができたらクリスタ上でアングルを決め、そのまま描き始める…といったスピーディーな制作が可能になります。

細かい家具や質感などはなくとも、直方体で壁と柱を作るだけで十分アタリとしては機能しますし、漫画制作などで同じシチュエーションを何度も描く人は、時間を見つけてしっかり作りこんでもいいですよね。

すごいのは、なんとこのツール、「オープンソース(無料)」なんです。(寄付は常に募集中)
使って見ると洗練されたUIや高機能さにまた驚きます。機能が豊富すぎてまだほとんど触れていません。これが無料だなんて…。
粘土細工のように造形できる「スカルプチュア」モードもあって、そのうち手を出してみたいです。

ソフトは大事

道具って、新しいモノを導入しても痒い所に手が届かなかったりして、なかなか新調できないですよね。
しかも感覚的に使うことが難しい「ソフトウェア」ともなるとなおさらです。
私も、末永くこれらを使い続けることでしょう。

ではでは…。

PROFILE

凹(kubo)

よく描き、たまに書くイラストレーター。
仄暗くて寂しげなタッチの絵が得意ですが、本人はとても能天気です。
絵を描くお仕事があればぜひご連絡ください。

◆Mail
kubo.ekaki★gmail.com(★→@)

◆Pixiv