COLUMN

2020.08.18

「よく描き、たまに書く」by kubo 第24回/ボトルネックの話

こんにちは、凹(kubo)です。
フリーランスのイラストレーターです。

今日は絵描きと切っても切り離せない「技術向上」のお話です。

ボトルネックの話

皆さん、「ボトルネック」という言葉をご存知の方も多いと思います。
直訳するとビンの首。どれほど大きいビンを用意したとしても、その首が細ければ一度にじゅうぶんな水を流せないことから、「ほかの部分をいくら改善してもここのせいで状況が改善しない、全体の足を引っぱっている部分」を指します。

技術や科学化学、経営などの分野でよく聞かれる言葉ですが、私はこれ、絵にも当てはまると思ってるんです。

一枚の絵をつくるのに必要な技術

絵を描くのにはたくさんの工程が存在します。
そしてそのそれぞれには、異なった技術が要求されます。

よい構図を考える技術。
ものの形をうまく捉える技術。
陰影をうまく捉える技術。
イメージに合った色を選ぶ技術。
ラフスケッチから美しく仕上げていく技術。
さらに、描くジャンルによって「人間」「動物」「無機物」「風景」などのテーマが上の技術にどんどん掛け算されて、膨大な量の技術が必要になっていくわけです。

(私は「センス」を「技術の言いかえ」だと思っているので、上に挙げた内容は全部技術です。
生まれつき備わってるものじゃなく、ぜんぶ勉強や練習でどうにでも育つものです)

ボトルネックは必ず生まれるし、生まれていい

さて、ぱっと挙げただけでもこれだけの種類の技術が必要になるわけなので、当然「比較的得意な部分」と「ニガテな部分」が生まれてきます。
この「ニガテな部分」がいわゆるボトルネックですよね。

悪い意味で使われることのおおい「ボトルネック」という呼び名ですが、私はこれ、絵においては生まれて全然いいモノだと思っています。
なぜならぜんぶをちょっとずつ底上げしていくなんて無理ですし、「目立って下手なポイント」というのは練習するいいモチベーションになるからです。

その時ニガテな一か所を全力で練習して、とりあえず満足いく出来にする。
そうすると、そこが上手くなったぶん、他の部分の粗悪さが目立って見えて…次はそれを練習する。
そうやって、ボトルネックを自分で生んでは解消して、その繰り返しでうまくなっていけばいいんじゃないでしょうか。

今まで問題ないように見えていた部分が下手に見える、それはチャンスなんじゃないかな、と。

「今、自分の絵の中でなにがボトルネックになっているのか」
定期的にこれを考えるクセをつけたら、いい感じが気がしますね。

(いつものように、半分以上は自分に言い聞かせている記事です。)

PROFILE

凹(kubo)

よく描き、たまに書くイラストレーター。
仄暗くて寂しげなタッチの絵が得意ですが、本人はとても能天気です。
絵を描くお仕事があればぜひご連絡ください。

◆Mail
kubo.ekaki★gmail.com(★→@)

◆Pixiv (当コラム掲載イラストを原寸サイズでアップしています)