COLUMN

2023.02.28

「自由の結果」 by sashi 第13回/無印良品とボクと「高木」

18歳で大学のため上京し、東京の府中という町に住んでいた。

初めての一人暮らしの部屋は家賃は大家に手渡し、隣の部屋のギャル男が風呂でミスチルを歌う声が余裕で聞こえる18歳に相応しいボロアパートだ。
このコラムの時系列でいうとこのバイトをはじめた頃の話。

初めての東京、一人暮らしに大いに羽根を伸ばしていたボクは部屋にビレバンで買った48手のポスターやブラックライトを付けるのに忙しく大学の入学式にいかなかった。
というより起きたら夕方だった。。

そんなこんなで誰も友達がいないまま初めて大学にいったのは確か履修登録の日。

すでにちょっとしたコミュニティができていたのでボクは「けっ田舎もんの大学デビューが」とイキっていた。書いてて悲しすぎるが事実だ。

そんなボクに話しかけてきたのが「高木」だ。

「高木」の第一声は
「おまえ、どこ高?」だった。

やべえ、、イカれてるのに捕まってしまった。。
今考えると類は友を呼ぶのだが、この時は入学式できちんと友達をつくらなかったのを本当に後悔した。

だがまだ巻き返せる、サークルに入ってオレンジデイズはまだいける。
「高木」はこれから無視しようと思いながら社交辞令的に電話番号だけ交換して別れた。

だがある出来事からボクの記念すべき上京して初めてできた友達は「高木」になり今でも変わらず友達だ。

そのエピソードを話そう。


「高木」と別れ2.3日たった頃、家でセブンの牛カルビ弁当を食べていたらピンポンが鳴った。

クロネコヤマトだった。
無印良品で買ったマットレスを代引きで届けにきたとの事。

そしてヤマトの人は言った。
「3万円になります」

うん?
マットレス、、たしかに買った。けど。
え、3万円って今払うの?
???宅配便の人に???
頭がパニックになった。

説明しよう。ボクは上京したてのシャイボーイだったので、代引きの意味もわからずなんとなく買い物していたのだ。後日振り込みかなんかで払うと勝手に勘違いしていた。

東京こわっ。
でもそーゆー事か、理解したよ東京。なめるなよ。

平静を装い払おうとしたその時気づいた。

(2000円しかない)

バイト代もまだなので銀行にもない。。
やばいやばい。。
ヤマトの人も異変を勘付いたらしく困惑してる。。
ああ、どうしようボクは東京に負けるのか。。


まだだ。ボクは諦めない。
考えるんだ。




そうだ。

「高木」だ。
あいつに借りよう!隣の駅に住んでるって言ってたし!

ノータイムでボクは初めての電話をかけた。







「もしもし高木??今すぐ3万持ってうちにきてくれない?」






fin
サシ

PROFILE

sashi(サシ)

ウェブマガジン「 FREEZINE」の代表。
アホさとエモさ、下品さと切実さの新たなカオス「mizuirono_inu」の主宰。

FREEZINE(フリージン)

2017年10月よりスタート。
【自由につくる人。自由をつくる人。】をテーマに発信するWEBマガジン。
concept

1人のドリーマーを中心に、世界的なコピーライター、カメラマン、オルタナティブマンの3名が脇を固め、夜な夜な世界を面白くする戦略を熱く語り合いながら運営を行っている。

「かっこいいものづくり」をしながら現実にサバイブしている先駆者たちのインタビューは必見。

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mizuirono_inu(ミズイロノイヌ)

ノンフィクションでファンタジー、新たなカオスを東京より。

2th album"TOKYO VIRUS LOVE STORY"
ロック、J-POP、ヒップホップ、エレクトロニック、ゲーム、アニメ等々を引き篭もったゴミ部屋の中でミックスし、2022年のオルタナティブとして吐き出す。コロナ時代の東京ラブストーリー。

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