COLUMN
2020.09.29
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2020.09.29
前回までのお話によれば、糖質やカロリーといった「栄養成分表示検査」まで漕ぎ着けたわけですが、これがまた一筋縄ではいかなかったのであります。
とあるきちんとした公的機関宛に辻口さんが作ってくれた貴重な試作品を検体として提出したところまでは良かったのですが、その検査機関から届いた見積書を見て驚愕。
「予算の3倍やん・・・・」
アホな私はここでようやく気づいたのです。
リサーチした時点ではじいていた検査費用は、検体1種のみにかかる費用でしかなかったということに。
ケーキの試作品は3種類、つまり検体の数だけ費用がかかるのは自明の理。
かつかつの開発費をどうにかこうにかやりくりし10円単位の出費も惜しんで予算を組んでいた中で、この10万円単位での出費はかなりのインパクトでしたが検査は検査、背に腹は変えられません。
そんなこんなで予算をなんとかやりくりし、ようやっと検査を終えたところで、いよいよ制作会社の本丸となる製品パッケージとECサイトのデザイン開発へと進みます。
「いろんな人の個性=らしさを生かすことで付加価値を創造し、関わったみんなに還元する」という事業ビジョンはもともと存在していたため、これをベースにブランドコンセプトやキービジュアルの方向性を構築することになりました。
そしてこの世界観の構築に欠かせないのが、手練れのアートディレクターであります。
実は、この事業の立ち上げ当初よりLashisaプロジェクトの参画メンバーとしてベテランのアートディレクターをアサインしておりましたため、できるだけイメージが豊かに広がるような、多くの方に愛されるようなモチーフがほしいとお願いしました。
そこでアートディレクターが出してくれたアイディアが、「森のパティシエ」でした。
「くまのパティシエが、森の仲間の持ち寄った木の実やフルーツで、仲間のリスのためにおいしいケーキを焼く。みんなが助け合うことで笑顔が生まれる。」
そんなストーリーをつくって、絵本のような世界観で展開しようと話し合いました。
そうなると、ぶっちぎりにかわいいくまのパティシエと森の仲間たちのイラストをこしらえなければなりません。
そんな中で白羽の矢が立ったのが、温もりのあるタッチがなんとも味わい深いイラストレーター「ヒラノトシユキ」さんでした。いい!この人しかいない!
しかしながら、いかんせん予算が潤沢なプロジェクトではないため、イラスト費も十分にご用意できる状態ではありません。
最初は諦めかけたものの、ダメもとでお願いしてみようという流れになり、メールでご連絡させていただいたところ、なんと「私で良ければ」と快諾いただけたため、早速打ち合わせをセッティング。
そして約束のカフェに現れたヒラノさんは、イラストのテイストそのもののようにあたたかく実直なお人柄で、事業の目的や世界観のイメージをすぐに理解してくれました。
それから数週間後、ヒラノさんから届いたイラストを見て一同感動。
イメージをはるかに上回る、大人かわいいくまのパティシエの姿がそこにあるではありませんか。森の仲間のリスや鳥、果物や木の実のイラストもぜんぶかわいい。これで行こう!
しかし、そのときのわたしは知る由もなかったのです。
一介のコピーライターが新規ビジネスを起こすまでには、その先に茨の道が待っているということを。
(次号に続く)
クリエイティブの力で、もっと社会にしあわせをーーー。
「Lashisa(らしさ)」は、障がい者の社会参加を支援する就労支援施設における賃金アップという社会課題を解決するために、広告会社「原宿サン・アド」が立ち上げた新規事業です。
一般社団法人「日本スイーツ協会」の代表理事である辻󠄀口博啓氏の監修のもと、糖質オフ&グルテンフリーなプレミアムスイーツを開発し、渋谷区の就労継続支援A型の施設「渋谷まる福」に製造委託。
原宿サン・アドのクリエーターが手がけるパッケージとECサイトで販売いたします。
高付加価値な製品の開発・販売を通じて、就労支援施設の賃金アップに貢献します。