FEATURE
2021.06.01
FEATURE
2021.06.01
もしもその音楽と出会っていなければ、いまの自分はない。人は誰しもが、そんな人生の転機となった音楽を持っているもの。そこでこのコンテンツでは、各界のFREEZINEたちに、自分史上において転機となった10の音楽を選んでもらい、当時のエピソードと共に紹介していただきます。選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。
初めて買ったアルバムです。姉と怖そうな先輩が持っていたからという理由で、どんな音楽なのか全く知らず買いました。
当時中学1年の自分は全く理解が出来ず放置していたのですが、高校生になって改めて聴いた時に「訳のわからない何かに対する痛烈な叫び」に惹かれました。
音楽を聴く時の状況や歳によって受け取り方は変わるという経験を最初にしたアルバム。
中学2年の時に先輩が聴いていて「めちゃくちゃカッケー!」となり聴き倒したアルバムです。
中~高校生の頃にミクスチャーやラウドにはまっていたのですが、暴力的な音はもちろんMVやジャケット・盤面が格好良く音だけでなくアートワークからも色々なバンドを掘り下げていくという事を覚えたアルバム。
10代で一番衝撃を受けたアルバムです。
これまでは音楽を感情移入であったり代弁的な意味で聴いてきたのですが、そんなのがどうでもよくなるくらい音に引きずり込まれました。
1つの始まりがあって終わりがあり、また産み出されて続いていくという音宇宙的な感覚を覚えたアルバム。
最初に勧めてもらい聴いた時は、轟音に耳がいき深くは刺さらないけれど何か気になるアルバムでした。
ある日、夕暮れの景色を見ている時にイヤフォンから『Insomniac doze』が流れ「轟音の中にある景色」がイメージとして浮かびあがったことを覚えています。
景色が穏やかだったからそう感じたのか、音がそう感じさせたのかは分かりませんが轟音の中から音像が浮かびあがるという感覚を覚えたアルバム。
2010年花をするのかバンドを続けるのか悩んでいた時期。
直接会話をした訳ではないのですが、このまま悩むくらいなら腹をくくって花をして。
いつか必ず音楽と繋がろうと決めたアルバムです。
BATTLESのリズムと音が以前のアルバムから好きでした。
このアルバムは明るい気持ちになるのだけれど、それを表現しようとすると暗いイメージが浮かんでしまう不思議な作品。
直観的なというか本能的なというか、、
当たり前なのですが好きなリズムや音であっても、その感覚を表現しようとするとを物凄く複雑なことだと聴くたびに気づかされたアルバム。
圧倒的に美しいアルバム。
ひとつひとつの音が葉脈を通る水のように身に沁みる作品。
生命が産まれ朽ちるまで(特に花樹の一生)を表現するとこのような作品だろうなと思う。
花をやると決めてからこの作品に出会って、友人に「この作品、花そのものじゃない?」といくら説明しても理解してもらえなかったので、すごく大切な感性をもらったのだなと自分の中で消化せずにとっておいているアルバムです。
2016年、打合せ終わりに同席させていただいた飲みの場にいたのがハバナイの浅見さんだった。
当時ハバナイの存在は知らなかったのですが、とても面白い話をしてくれたので終電に揺られつつダウンロードして聴き一曲で歌詞に引き込まれ、帰宅後YouTubeでライブを観て虜になりました。
楽曲然り、とにかくバンド自体が気になってしまう。
バンドへ対する見方が広がったアルバム。
今回自分が携わらせていただいた作品は入れないつもりでいたのですが、この曲だけは外せませんでした。
花のタイトルがついていて、それを歌詞に含めようとするとどうしても矛盾というか「ん?」と感じる部分が出てくるのですが。この曲は花をやりはじめた当時、花作品で伝えたいと思っていた感情に違和感なく置き換えれられるシングル。
自分は絶望的に人付き合いが下手で、ほぼ諦めているのですが。そんな中、今まで全く面識もなく触れてもこなかったジャンルの方と垣根を飛び越えて通じ合えたのはかけがえのない経験であり、選んだ道を信じて進もうと思えた。
ここ1年で最も聴いているアルバム。
「解体と再構築をループし続ける東京でステップを続ける人間」がテーマの作品。
花という職業柄、生産や流通・淘汰されていく品種またそれらの生命というものが身近にあり敏感だからか「花を切る」ということ、強いては「花を殺して、生かす」ということを考えさせられる作品。
2020年2月に「Adam et Eve」という個展イベントでインスタレーション作品を制作する際に、その問いを知る入り口を探りたく『狂(KULE)』を流しました。
その直後、コロナ渦になり変わったことは多いのですが世の中が動くタイミングで出会えてよかったです。
なかなか10の音楽を選ぶことはないので面白かったです。
いざ選んでみると、そもそも音楽を抜きにしても人生の転機ということが少なかったことに気づきました。
というか、花をやるかやらないかの時くらい、、、。
(このお話を受けた時はもう少しあると思っていました)
いろいろな分岐点を選択して生きているつもりでいましたが、大きくみるとシンプルに生きてきたのだなと気づけてよかったです。
今回紹介した音楽が「転機になった10の音楽」というより影響を受けた10の音楽になってしまった言い訳はこの辺にして。
いまスマートフォンの画面に今回選んだアルバムの画像を並べて見ながら文章を打っているのですが。
一環してアートワークの色合いや、放っている雰囲気が物凄く好きだと気づきました。
自分は音楽のプロではないので曲の構成や意図を言語化して説明することは出来ないのですが、中学生の頃から音楽が好きでCDに触れているうちに図らずとも好きな色彩や放っている雰囲気が今へ繋がっていて花の作品に影響していると思うと、聴いたことのない音楽のジャンルを受け入れれるアートワークと楽曲に出会うことが音楽と共にある転機なのかなとか思いました。
この先の人生の転機で出会う音楽、アートワークを楽しみにしていこうと思います。