STUDY
2018.08.15
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2018.08.15
本人が勤労学生である場合、27万円の控除が受けられる。そんな制度があります。
フリーランスの方は、人生のどこかで学校に通われる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
勤労学生という言葉は、一昔前の苦学生のイメージが漂う言葉なので
現代版のイメージに置き換えてみます。
例えば、
結婚後配偶者の扶養に入り在宅の仕事をしながら専門学校に通う、
会社を退職し、親の扶養に入りながらアルバイトをして資格取得の専門学校に通う、
十分な貯蓄のもとフリーランスとして少しの収入を得ながら学校に通う、
このようなケースの時、検討の余地がある控除です。
次の要件を満たす場合、27万円の控除が受けられます。
1. 一定の教育機関の一定の課程に通う者であること
2. その者の所得が、次の要件すべてを満たすこと
① 給与所得、事業所得、退職所得、雑所得(給与所得等)があって
② 合計所得金額が65万円以下で
③ ①の所得以外の所得が10万円以下である
※ 控除にあたっては、教育機関の種類に応じて在学証明書などの添付が必要です。
通常、お給料収入が103万円までであれば税金がかからないところ
勤労学生の場合には、130万円まで税金がかからないようにしてくれるというもの。
103万 - 給与所得控除65万 - 基礎控除38万 = ゼロ
130万 - 給与所得控除65万 - 勤労学生控除27万 - 基礎控除38万 = ゼロ
勤労学生控除は本当にお得なのか。扶養控除との関係で注意が必要です。
というのも、そもそも勤労学生控除が受けられる人は、所得が65万円以下なわけで
貯蓄がない限り、自分の所得だけで生活は困難です。
当然“誰かの扶養に入っている状態“であることが多いはずです。
勤労学生自身は、130万円まで稼いでも、勤労学生控除が受けられて税金がかからないけれど、勤労学生を扶養している人からみれば、「扶養控除」が受けられなくなるという結果が起こります。(扶養控除を受けるには、扶養されている人が給与収入でいえば103万円以下である必要がある)
世帯で考えると結果的に税負担が増えてしまうことになり、
中途半端に稼いでしまうくらいなら103万円までに抑えておくほうがよかった・・・ということにもなりかねません。
勤労学生控除の適用を受けられる可能性がある方は、その点考慮の上、いくらまで稼ぐか検討されるのがよいかと思います。
対象となる教育機関は、学校、専修学校、各種学校、職業訓練法人の行う認定職業訓練
など、多岐にわたります。
専修学校(学校教育法124条)には、
〇〇看護学校、〇〇農業大学校、〇〇歯科衛生士専門学校、〇〇会計専門学校、〇〇ファッションデザイン学校、〇〇保育専門学校 などがあります。
各種学校(学校教育法134条)には、
自動車学校、予備校、インターナショナルスクール、中華学校などがあります。
一定の課程としては
修業期間が1年以上、授業時間が1年800時間以上、その授業が年2回を超えない一定の時期に開始されその終期が明確に定められている、などの要件があります。
そうすると、例えば、自動車学校や予備校、資格の学校は、各種学校には該当するものの、一定の課程という点で要件を満たさず適用対象外。
また、放送大学などは、生涯学習・キャリアアップのための選科履修生(半年間~1年間)では該当がないものの、大学卒業を目的とする全科履修生(在籍4年以上)であれば、適用があります。
ポイントは、
その学校が、勤労学生控除の対象となる教育機関に該当しているか否か。
そして、その学校で履修したい“課程”が、対象となるか否か。
実際、判断に困る場合が多いので、勤労学生控除が受けられるかわからない場合には、学校自体に確認されるのが一番です。
新卒でコンビニの店舗運営部に入社するも、ハードワークに将来を悩み転職。シンクタンクの財務経理部に入るも、単純作業に心が折れ退職。資格で生きることを思い立ち、経験を蓄積できて様々な方とお付き合いのできる税理士に魅力を感じて会計事務所に就職。
顧問先様の“心地よさ”を重視した節税提案をモットーとしています。隠れ目標は、大事なものを大切にしながら働くことを諦めない業界にすること!
趣味は登山(次注目する山は甲斐駒ヶ岳)、剣道(四段に向けて修行中!)、運転(気になる車はプジョー3008)です。