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2022.10.25

【FREEZINE映画部 #0002】タランティーノ監督作品「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を川口純平(断絶交流)と運営メンバーが観る!

映画レビュー企画「FREEZINE映画部」第2弾!
今回のゲストはロックバンド断絶交流のボーカル&ギター川口純平!

FREEZINE運営メンバーが持ち回りで映画を選定し、時にゲストを招いて皆で鑑賞したりレビューしたりする企画「FREEZINE映画部」の第2弾です。今回はロックバンド断絶交流のボーカルギター&作詞作曲を担当する川口純平さんと、FREEZINE運営メンバーの総勢5名で映画を観賞します!

FREEZINE映画部 第1弾はこちら

今回鑑賞する映画はこちら!

今回の映画選定者はFREEZINE運営メンバーの清水 里華!

ハリウッド映画が好きだ。それもとびきり壮大で、とびきりバカバカしいのがいい。ヌーヴェルヴァーグもいいけど、それだけじゃ食傷してしまうし。シャンソンもいいけど、時にはカラッとした西海岸メタルもね。ということで、クセは強めながらも、ハリウッド中のハリウッド作品をピックアップ。とにかくわかりやすい作品を取り上げることで、「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」をやりたかったんですが果たして。

今回のゲスト
川口純平のレビュー

まず
この映画を語るにはクエンティン・タランティーノ監督について語らねばならないだろう
自分の世代の映画好きにとって
タランティーノとは、もはやアイコンでありスター
ビデオ屋の店員からわずか長編映画二本(レザボアドックス、パルプフィクション)で映画界をひっくり返した90年代、時代の寵児である

タランティーノの映画の一番大きい特徴は
過去の映画からの引用を避けない
むしろガンガン引用して
それをガシガシと繋ぎ合わせていく
(メジャーなタイトルから、皆がポカンとするようなマニアックなタイトルまで)

それはまるで映画のパッチワークのようなものなのだが
出来上がりを観るとそれはタランティーノ映画としか言いようがない
生々しさとテンポを獲得しているのである
(また、引用した映画を隠さないという特徴もあります。全部喋る)
※他にも特徴的な音楽の付け方、時間操作の多用等もタランティーノ節とも言えますが、、

さらに監督の六作目「イングロリアス・バスターズ」から
作風に一つの特徴が加わっている事を述べねばいけない

それは
過去に起こった痛ましい事実、事件や事象に
「映画の中で落とし前をつける」
というものである

例えば「イングロリアス・バスターズ」では
第二次世界大戦を背景にして
文字通り映画でナチスをやっつける(詳しくは是非観てください!!)

史実とは全然違い「?」となった人も居ると思うが
世の中の悲しい事、許せない事を吹き飛ばしてくれるのがエンターテイメントだとしたら
まさしくエンターテイメントであると言える

七作目「ジャンゴ」ではアメリカ南北戦争直前の黒人奴隷の鎖を放つ(これも観て!!)

八作目、変化球の「ヘイトフル・エイト」を挟んでから

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今回の映画
「Once Upon a Time in… Hollywood」である
この映画はタランティーノの九本目の長編映画であり
彼は「十本撮ったら監督を辞める」と公言しているので
それを信じるのであれば大トリ前の映画である

一体どんな映画なのであろうか

結論から言ってしまうとこの映画
めちゃくちゃ面白いのであるが、大きな問題点も含んでいる
そしてそれを説明した時点で映画の内容をスポイルしてしまう恐れがあるという
レビューするのに大変難しい映画となっている

前述した監督の近年の傾向
映画で現実の事象に落とし前をつけるシリーズの一本と言って良いのであるが
今まで監督が扱ってきたテーマ、誰もが知っているであろう歴史(ナチスの暴走、黒人奴隷の問題)と違い
本作は
映画ファンやサブカルチャー好きならギリギリ知っているか?
という1969年のハリウッドで起きた「ある事件」が題材になっている

その「ある事件」を知らなくても
ハリウッド内幕モノとして大変楽しめるであろう本作であるが
知ってる人と知らない人で驚き、楽しさ、奥深さに
めちゃくちゃ差が出てしまうように思う
(筆者は知っていたので、知らないで観た人の感想が聞きたい!!)

これまでのタランティーノの映画も
たくさんの引用や無駄な知識が詰まってて
それを知ってるとオマケ的に楽しさがアップしてきたわけだが
今回は映画のストーリーの根幹の部分で
観る側の知識差が出てしまう

これは結構大きい問題だと思うのだが、、、
しかし
それにしてもこの映画は面白すぎる!!!!

ので
ここまでつべこべと言葉を並べてきたのだけど
全て空っぽにして、まずは観て欲しい!!!

主演二人の怪演
特にディカップリオはいろんな意味で泣かせてくる(特に子役とのくだりは爆笑と苦味で)
映画を観終わる頃には
架空の中堅ハリウッドスター、リック・ダルトンがたまらなく大好きになっているはずだ
(「マクラスキー 14の拳」観たいよね!)

そして
タランティーノ映画の中でも蛇足的なシーンが一切無く(そこが好きという人も多いと思いますが)
豪華俳優陣、音楽、映像、テンポ、火炎放射器
全てが最高!

さらに
ストーリー、テーマは監督の映画・人間、そして人生に対する愛情がこれでもかと詰まっております

なので
この映画を観て「面白いけど、何のこっちゃ?」と思った人は
一度インターネットで調べて(便利な時代だ!)
もう一度観直すと
一回目とは違う
爆笑ギャグの中に内包する、架空の世界から痛ましい現実世界に対して投げかける
強いテーマを感じられると思います

なので二度観がオススメです!

そしてタランティーノ最後の映画を待ちましょう!!

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タランティーノ的蛇足なのですが
この映画を観て面白かったという人に向けてプッシュしたい映画を三本ほどあげておきたいと思います

初級「パルプフィクション」
まずはこれ、タランティーノの出世作
この映画が時代を変えたと思います
初見時、映画館であまりの面白さに愕然としたのを覚えてます

中級「ラストナイト・イン・ソーホー」
タランティーノフォロワーとも言えるエドガーライト監督が
イギリスのポップカルチャーの裏側を描いています
主演二人の女優にパンチを喰らう事でしょう

上級「サンセット大通り」
1951年、ビリーワイルダー監督によるハリウッド内幕モノ
当然今作にも影響を与えているであろう怖~い映画
名監督・白黒映画で敷居が高そうに思えますが
テンポが良いのできっと楽しめると思います

以上
長くなりましたが「Once Upon a Time in… Hollywood」評でした
(映画の内容、ほぼ何も書いてないですが、、、)

いやあ
映画って本当に良いものですね!
さいなら さいなら さいなら

断絶交流 川口

関連記事:川口純平の人生の転機になった10の音楽

FREEZINE運営メンバー
Apeのレビュー

他のメンバーやゲストが映画の具体的な内容に触れてネタバレをしているのかどうかはこのレビューを書いている時点では分からないけれども、企画自体の発案者である僕的には本企画を通して「この映画ちょっと面白そうだから見てみよう!」と思ってくれる方が少しでも現れたら良いなという想いもあります。なので、僕は極力ネタバレにならないようなレビューを心掛けようと思っております。

さて、僕は無条件にブラピが好きです。単純にイケメンだし、一挙手一投足がいちいち格好良いんですよね。ファイト・クラブを観ると自分も体を鍛えようかなとか思ってしまうし、12モンキーズの時のロン毛のブラピなんてカート・コバーンかと錯覚するぐらい格好良かったですよ。だから僕はブラピが出ているってだけでその映画に興味を持ったりするのですが、何故かこの映画は華麗にスルーしていて、今回が初視聴となりました。(こういう機会を得られるのもこの企画の良さだと思います)

作品を観始めてまず最初に感じたことは、音楽やら衣装やら美術やらがとにかく最高だということ。個人的に60年代後半のあの感じがメチャクチャ好きで、僕はチーマー全盛期だった中学生の頃に一人だけBISONのベルボトムとかを履いているようなガキだったので、もう多分血なんだろうなと思います。観始めてすぐに「ああ……好き!!」っていう感じでスッと作品の世界に入っていけました。
推しのブラピはこの映画においてもひたすら格好良くて、トレーラーハウスで犬と一緒に生活しているだけの映像を長々見せられても全然退屈しません。何なら自分もトレーラーハウスに住みたくなっちゃいます。
あとこれは関係があるのか無いのか分かりませんが、ヒッピーたちが住んでいる牧場をブラピが訪れた時のあの感じが、僕の中でスナッチのパイキーに会いに行くシーンとちょっと被りました。単純に景色がなんとなく似ていたような気がするし、犬が出てきたり、彼らと話が通じなかったり、車に悪戯をされたりする描写も含めて何となく。そのあと一人のヒッピーをブラピがブン殴りますが、そのシーンはちょっとファイト・クラブっぽいなあとか思ったり。やたら粘度の高い鼻血が滴る感じとかね。もしかしたらその辺ちょっと意識的にオマージュ的な要素を入れているのかも、とか思いましたが、全然見当違いかも知れません。

あ、ここまでブラピの話ばっかりで恐縮です。でもこの映画で一番輝いているのはブラピじゃなくてレオ様なんです。主役がレオ様なんだからそりゃあ当たり前なんですけど、僕はレオ様が劇中劇の撮影で迫真の演技を決めた瞬間、レオ様の目に涙が溜まっているのを見て、監督や小娘に褒め千切られている様を見て、嬉しくて思わず号泣しながら部屋中を飛び回ってしまいました。(というのは流石に言いすぎですが)自分も歳を取って、色んな挫折を味わって、それでも何クソと思って真剣に打ち込んでいるものが今もあって、だからそういう境遇の中年には思いっきり感情移入してしまうんです。
逆境の中でやり切って、自信を取り戻したレオ様が「俺はリック・ダルトン様だ」という最大級の自画自賛のセリフを放ったシーンが僕的にはこの映画の最大のカタルシスでした。

映画のラストもヤバいですね。良い意味での裏切りやスゲー勢いの乱闘騒ぎ。ラリって覚醒したブラピ無双、からのブランディ(犬)無双。そして、ひとり呑気にプールでくつろいでいた間抜けなデブレオ様、からの伏線回収最終兵器無双。痛快で笑いが止まらんかったです。
最後の最後で、隣人で女優のシャロン・テートが実はレオ様のことを俳優としてちゃんと認識してくれていることが分ったり、マンソン・ファミリーの彼らもレオ様のことを昔から知っていて、会えて思わずちょっとテンション上がってしまったり、実は本人が思っていたよりも世間には評価されていたっぽい描写が出てくるのも僕は結構好きでした。

自分の作品の中では、好きなように世界を描くことが出来て、好きなように人を殺したり生かしたり、事実を捻じ曲げたりすることも出来る訳ですが、この作品を観て思ったのはタランティーノ監督はきっとスゲー良い人なんだろうなということ。
西部劇やブルース・リーなど、自身のルーツへのリスペクトの気持ちもメチャクチャ大事にしていて、それをどストレートに作品に落とし込んで面白く昇華していて、そういうマインドも大好きです。タランティーノ映画はこれまで実はキル・ビルしか観たことが無かったので、これから過去の作品を順番に観ていこうと思います。

最後に、この映画は登場人物も多いし、実在の人物やエピソードも入り組んでいるので、その辺を整理しながら理解を深めて観ていったらもっと面白くなるだろうなあと感じました。自分のインプット量が増える度に、繰り返し何度も観たくなる映画だと思います。あと無性にタバコが吸いたくなる映画です!

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FREEZINE運営メンバー
miNamiのレビュー

名前は知っていたタランティーノ監督。
タランティーノ監督の作品ってちゃんと見た記憶ないなぁとお菓子とジュースを準備してワクワクしながら鑑賞。

しっかり見ました、しっかりと。
面白かったなーーー!!!って気持ちでいっぱいなんだけど、ふさわしい感想が一切かけずに、どうしようどうしようと提出を先延ばしにする日々。

小学校の読書感想文を思い出した。

ふさわしいことはかけないけれど個人的に思った事はいくつか。

見ていて思ったのは、なんでもやり過ぎた方がやっぱり面白いと言うこと。
殴り過ぎ、燃やすしすぎ、噛みすぎ、イケメンすぎ、振り切るって面白いんだと改めて思わされた。

あとスピード感。
最後の最後でブワーーー!!!ガブ!!!ザクー!!!ボーーー!!!チャラーンと言った勢いで、事が終わる感じが個人的に好きでたまらんかった。不思議とツボに入り爆笑した。

そして何より、ディカプリオ様とブラピ様を一緒に出すと言う、もはやイケメン頂上決戦。かっこいい通り越して面白さ感じてしまった。
ほんでもってイケメンが恥じらいもなくアホな事するとより面白さが増すのだ。

タランティーノ監督作品を楽しむにはもっと映画見た方がいいのかもしれんと思いながら、なんだか不完全燃焼で見終わってしまった…。
30歳くらいになってみたらまた違う楽しみ方ができるのだろうか…。

違う作品にもぜひチャレンジしたいと思います。

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FREEZINE編集長
sashiのレビュー

前提

タランティーノの映画はキルビルしか見た事ないパンピー。


レビュー

史実を紐解き再構築したナンセンスとハイセンスのスローセックスみたいな前半。とにかく長い。ショート動画世代には耐えらないかもしれない。
でもどうか最後まで辿り着いて欲しい。経験した事ない絶妙な苦味のあるカタルシスが待っている。
溜める系のポストロックもビックリなやつ。
ただこのカタルシスを得るには事前にある情報が必要。それは後述します。


個考察

こりゃまいった。
これが噂のタランティーノってやつか。。

古い世代のネタを存分に盛り込み視聴者はガンガン置いていく。
(カスター将軍でいま誰が笑うんだよ笑)

それでも途中で辞めさせない何かを残しながら最後を迎える。この何かは俳優の力が半端ないのだろう。
そして不思議な気分で見終わった後、映画内の気になったことを調べると大どんでん返しが待っていた。


これから見る人は事前にこの2つを調べてから見る事を強くお勧めする。

シャロンテート
チャールズマンソン


最後にボクが選んだこの映画のパンチラインを。

「フィフティーセント、ヒッピーガール」

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FREEZINE運営メンバー
清水 里華のレビュー

一言で感想をまとめるのが実に難しい様々な要素を孕んだ映画ですが、あえて一言で言うならば「大好き」です。

実は、それまでタランティーノ監督の映画を観たことはなく、どちらかと言えば「食わず嫌い」な監督の一人でもありました。しかし、カルトなチャールズ・マンソン軍団による女優シャロン・テート殺人事件という史実をベースにした映画であるとのことで興味を惹かれ、重い腰を上げて初鑑賞してみたわけです。

落ちぶれていくスターと盟友とのリアルな人間劇があるかと思えば、50'~60'sカルチャーへの偏執的なこだわりもごちゃまぜにブッ込むものだから、まぁとにかく長い。映像展開のテンポも悪い。そしてそれらはすべて、ラストのカタルシスに観客を誘うための用意周到な前置き。強烈などんでん返しで大団円にまとめ上げるタランティーノ監督の手腕に感服しつつ、大笑いしている自分がそこにいました。

ディストピアな現実をユートピアに。これは人類だけが描ける夢であり、人類が前向きに生きていくために必要な嘘であります。この壮大な嘘物語をゼロから作り上げ、膨大な制作資金を集め、2大スターをも巻き込み、実際にビジュアライズし、己の世界観を世に問う監督の想像力&定着力の凄まじさたるや。むしろ、人間の想像力をもってすれば、見たい世界が作れるんだ、という新鮮な驚きに包まれました。

どこまでもピュアな人間愛を、とびきりジャンクに味付けした「THE」ハリウッドな名作だと思います。

関連記事:清水 里華の人生の転機になった10の音楽

活動後記

今回は、映画に精通した強者ゲストをお迎えしての初のゲスト会ということで、実に読み応えのある記事になったのではないでしょうか。学ぶことも大変多く、個人的にとても有意義な回でありました。まだ観たことのない方はこの機会にぜひ。

ということで、さぁて次回の映画選定者とゲストは?
どうぞ次回の更新をお楽しみに。

PROFILE

(写真左から)

●川口純平
断絶交流というバンドのギター&ヴォーカル&リーダー。弾き語りのソロ活動も精力的に行っている。声がとても大きい。音楽・映画・漫画などのカルチャーに詳しい。

●sashi
FREEZINE編集長。クズときどき天才。ゴシップネタが大好物。mizuirono_inuという頭おかしいバンドのリーダー&コンポーザー。

●清水 里華
FREEZINE運営メンバーの中で一番偏差値が高い。酒クズのコピーライター。ほぼ毎朝10km以上走っている。夫のApeと2人でVery Apeというバンドをやっている。

●Ape
FREEZINEの縁の下の力持ち。この企画の発案者。妻の清水 里華と2人でVery Apeというバンドをやっている。高尾の観光大使になるのが夢。

●miNami
FREEZINEの若者担当。新宿生まれ新宿育ち。カポエイラ使い。歌を歌ったりもする。フットワークが軽く色んな場所に現れる。みんなの妹。

※こちらのPROFILE文はすべてApeが勝手に書いています。