COLUMN
2019.07.02
COLUMN
2019.07.02
こんにちは、凹(kubo)です。
フリーランスのイラストレーターです。
最近、このフリージンのコラムコーナーに、自分の生き方を持っているカッコいい大人がたくさんいらして、(勝手に)プレッシャーを感じています。
(私のコラムに最初にたどり着いたという方も、ぜひ他の方のコラムを読んでみてくださいね)
背伸びしてもいいことないのは、これまでの人生で散々学んでいるので、私は引き続き、等身大の私を書いていこうと思います。
最近、自分にとって嬉しい変化がありました。
少しずつですが、仕事の単価を上げられるようになってきたのです。
クライアントからの「〇〇円でやってください」という申し出の金額が上がってきたわけではありません。
私自身が、仕事を依頼されたときに「その内容でしたら〇〇円ですね」と提示する料金、その価格帯を上げられるようになってきたのです。
それはなぜか?
「自信がついてきた」からです。
今でこそイラストレーター/デザイナーという肩書で活動している私ですが、実は会社員時代は別の仕事をしていたため、未経験からのスタートでした。
今にして思えば無謀の極みです。
専門学校も出ていない、会社での経験もない、そんな人間がいきなり屋号をつけて「イラスト・デザイン屋」を興したのです。
履歴書を描けば新卒と変わらないような内容ですし、ポートフォリオなんてありません。
私がそんな人間を見かけても、まずなにかを発注しようなんて思わないでしょう。
でも、幸運なことに(本当に幸運すぎることに)、私の周りにはそういったものを発注する立場の友人が多くいて、彼らが善意で私に仕事をくれたのです。
今でも私に仕事を頼んでくれる彼らには、本当に感謝しています。
さて、そんな感じで仕事をもらっていた私なので、案件単価はいわゆる「お友達価格」でした。
チラシ一枚5000円、イラスト1カット3000円…。
同業者に知れたら怒られてしまうような金額です。
でも、当時の私にはそれで十分というか、むしろそのくらいがありがたかったのです。
何故なら、きちんとした「プロの金額」を提示されてしまったら、それ相応の「プロのクオリティ」を出さねばならず、その自信が当時の私にはなかったから。
人によるのでしょうが、この「お友達価格」のぬるま湯は、抜け出しがたい魅力を持っていました。
そのうち知人たちは私に他のお客様を紹介してくれるようになってきましたが、その新規顧客にも私は「紹介割引」と称して同じような価格帯を提示し続けていました。
「〇〇さんのご紹介ですから…」は言い訳で、すべては報酬を下げることで仕事のハードルも下げ、私自身がプレッシャーから逃れたかっただけです。
お客様の中には「こんなに良いモノを作ってくれたのに、この金額では申し訳ない」と言ってくださる人もいましたが、それでも私の自信は育ちませんでした。
正直、ただの社交辞令やお世辞にしか聞こえませんでした。(実際そうかも…と今でも思っています)
長らくそんな感じで活動していた私ですが…。
最近、仕上がった自分の仕事を見て、自分で大きくうなずけるようなクオリティを出すことができました。
それが2、3回続いた時、初めて、「私、きっともっともらっていいんだ」と感じたのです。
何が自信につながるかは人それぞれだと思います。
私にとっての自信のタネは、実績。
そして、自分の中で実績としてカウントできるのは「クライアントと自分自身の両方が納得した案件」だけだったんですね。
それ以降、少しずつ、見積もりを依頼されたときに提示する単価を上げ始めています。
まだまだ業界相場に比べると安いですが、それでも以前のようなお小遣い価格ではありません。
「プロの金額」に対して責任をとれる自信がついてきました。
価格って本当に難しいです。
特にこの業界は相場の変動も激しく、そういった市場の変化も把握して動かなければなりません。
私自身が相場を作る一端を担っている、という意識もまた大事です。(ここに関してはまだ足を引っ張っている自覚があります…)
今後も精進。がんばります。
よく描き、たまに書くイラストレーター。
仄暗くて寂しげなタッチの絵が得意ですが、本人はとても能天気です。
絵を描くお仕事があればぜひご連絡ください。
◆Mail
kubo.ekaki★gmail.com(★→@)