COLUMN

2023.06.27

「文系恋人放浪中」by 赤城文 第13回 /好奇心、犬も殺すよ

アニメ版「ピンポン」がやっと配信されたせいか夜遊びが好きが高じて夜な夜な友達と卓球に行ったり

1から順にきっちり数えられた色とりどりの玉を初めて突いてみたり

プラスティックの矢を狙った的に投げ当てるコツはバレリーナの姿勢だと気付いたり

帰り道に気付いたら片手にアイスを持っているし怖いアニメを見て寝落ちをするばかりだし無意識に聴きたくなる曲は大瀧詠一の周辺ばかり

ご飯を作ろうと冷蔵庫を開けたら玉ねぎから血が出ていた

これは紛れもなく夏ですね

菊池成孔の粋な夜電波を聴くために朝まで起きていたあの夏を思い出します

ライブハウスの喫煙所に入ると話し相手が誰かしらいて、終電なんか気にしなくても気付いたら遊び場にいて、目の前に大人が現れたら大人だという色眼鏡で見てやたらゆっくりな口調になるその瞬間全てが私に若さを与えてくれる

家に帰ればご飯を作って明日乗る電車の時間を調べて足早に寝る人生が続きすぎると私を5歳は老けさせる

子供らしい幼少期を送れずに年相応のレールから片足落ちた分だけ若者らしい若かった頃を過ごしたい

こんなじめっとした季節になって初めて思い出した事がある。

私は好奇心によるカテゴライズされにくい数々のチャレンジした記憶があり

その中の一つである、

見ず知らずの劇団の自主制作映画に出演したことだ

唯ちゃんが知り合ったという実態もよく分からない自主制作映画団体の映画の撮影に森の妖精(?)役で参加したのだ

唯ちゃんと私はお揃いの白いTシャツを着せられて都心から外れた公園の川の周りで「アガガガ?ウグググ?」という短いセリフを何度も撮り直しさせられて仕舞いには共演者の俳優さんに絵の具をめちゃくちゃにぶっかけた

「僕をレイプするぐらいな気持ちでやってください!」と言われたじろぎながら絵の具を手にした私たちを見てもう一人の出演者である40-60代ぐらいの女優さんが「そういうの好きそうじゃんね」と笑っていた

謎のセリフを言った私たちの間を俳優さんが駆け抜けるシーンでアドリブで川の水で顔を洗っていたのを見て微生物とか衛生面は大丈夫なのかなとかどうでもいい事を考えていました。

どうやって撮影現場まで待ち合わせてどうやって解散したのかもどんなストーリーだったのかも今その動画が公開されているかも何も覚えていないし分からない

ただ私たちは家に着いた途端に気絶するかのように泥のようにリビングで長いこと寝た記憶だけあります。

このように忘れていたけど今考えれば何だったのか分からない瞬間が10代の時に沢山ありました

高校時代の放課後によく分からない映画監督と唯ちゃんと三人でお茶をした時に河合奈保子か本田美奈子(もうよく覚えてないや)が生で見たら凄く可愛かった話をひたすらされてしょっぱい気持ちになったり

全く知り合いでもないのにツイッターからオファーした自称超能力者の方と高円寺でMUGON…色っぽいを一曲だけ歌うライブをしたり(その帰り道に上記の映画監督とばったり会ったり)

ツイッターで厄介事を言われてブロックした路上ミュージシャンの方と新宿ですれ違って「あ!僕のことブロックしましたよね!」って言われて逃げたり

都内で街宣活動をされているピンクを纏った左のマダムの話を何故か毎週末聞いていて沢山もらったビラは隣の席の子にあげたり(この前久々に元気に街宣活動をしているのを見て嬉しかった)

朝四時にゲイバーで泡沫サタデーナイトを歌ったり(私は本当に何をやっているんだろうとこの時は思った)

他にも若かりしトリッキーな思い出が沢山ありますが、今こうして良い子にベッドに入っている自分を作り上げた思い出が今の私とはあまりにもかけ離れていて思い出すことを制御し始めました

ミュージックバーやポルノ映画館での思い出は過去のコラムを読んでください

今の私は破壊より守護、嘘は盾、本音も盾、笑顔は槍、孤独は愛、愛は嘘、全部嘘だが嘘つきが幸福であり大人!という思春期風の絶望もそこはかとなく抱えながら幻想より現実の方が落ち着くと感じている

発信や表現をすることが私の主であったけどもうそんな好奇心も勇気もなくて黙ってばかりなので黙っている事に怒られたりもする。それで泣いたりもする

私は嘘つきなので矛盾している上に極端さが不器用だから赤城文だけは素直に上手くやって欲しい

赤城文で得た自信や良い部分を文ちゃんの養分にするための身代わりの鎧だから赤城文が焼かれたら割と困る

アイドルまでやって大掛かり人体実験をしているサイコキラーとかではないよ。
あくまで自分じゃ気づきにくい短所を潰す為の最短術という事

今はあんまりお話ししたり発信する気分じゃないけどまた気が乗ったらふらっとあなたの元に現れるからSNSの更新がなくても生きているから安心して今日も寝てね

怪文を書くと文のことをよく知らない方が読むと怖がっちゃうからもう寝るね。
ちょっと人より考えすぎる癖があるだけで会ったらスヌーピーみたいにHAHAHAって笑うし語尾に❤ついてる事はみんなが分かっていると思うからみんなの幸せを願って寝る事にするよ

PROFILE

赤城 文(アカギ アヤ)

2000年11月28日生まれ 東京都出身
「エレクトリックリボン」に2022年12月23日に加入。
セルフプロデュースアイドルグループ「ミレディ♡チャーム」のドールレッド担当と実の双子の妹(可愛唯)と共に「ローストチェリーマーケット」として活動中。
主に作詞と振り付けを行なっている。

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