COLUMN

2020.10.06

「有名な夢の中で、」 by KooK 第1回/部屋の中で、

自分は何故ここにいる。自分は自然の分身。
別れたDNA。とりあえず書き進む。


空想じゃない。夢想じゃない。幻想だ。

そうおもいながらティッシュを二枚取った。
果てた夢。 捨てられた白い紙。

部屋の片隅でギターのコードGの押さえ方を試していた。指の伸ばし指を折り曲げ、鳴った。中学生だった。万年ベンチ、女子にも負ける。初めてでた公式戦では緊張しすぎて、相手フリースローで外れたボールをリバウンドそのままジャンプシュート。外れた。最悪のオウンゴールを見せつける所だった。そして再びベンチへ。自ずと遠のいたバスケットゴール。

帰路に着いてすることはラジオの電源を入れてオリコン片手に今週のラジオ番組独自の週間チャートを予想する事にシフトしていた。オリコンとは違うランキングになる為、結構面白い。たまにラジオクイズで電話出演、高鳴った。自分の声がいつものラジカセから聞こえてくる。最後に「ステッカーください。」と申すのが常套句だった。
もう1つの楽しみはオリコンの読者コーナーに投稿することだった。電子メールだったろうか、ハガキだっただろうか。オナニーマシーンのイノマーさんのコーナーに載った時、高鳴った。亡くなっちゃったね。

○○ハの鍵盤も習っていたが、ギターの方が上達していった気がする。バンドを組みたかった気がする。文化祭の為の軽音部に入りたかった気がする。ただひとりGを鳴らしていた。

助かった。助けられた。電波に乗って流れる音に。コンパクトディスクから溢れる音に。聴いている瞬間はとてつもなく創造が膨らみ前向きだった。

高等学校に進んだ。唯々ダラダラとジャパン商業音楽を聴いた。音楽の授業だ。ギターを弾きましょう。できた。ちょっとピアノ弾いてみて。できた。唯々それだけで天狗になった。これが未来だ。世界中の人達とバンドを組んでデビューだ!東京だ。東京だ。

バンバンバン!部屋にキーボードを叩く音が鳴り響く。西部劇風タイピングソフトで放課後、鍛える。町中の文字を見るとローマ字が浮かび上がるマインドの域にイッた。ブラインドタッチもできるようになった。
隣を見る。全然人がいないじゃないか。

よーしこれだ!音楽をコンピュータで作れるようになるぞ!、、、


全ては勘違い、ある時は曲解から始まった夢。ズタボロに、そして雨の水たまりに投げられた白い紙。東京上京桃源郷に続く。

PROFILE

KooK

キッチュなニッチを探る音のカラダ。
悶々と仮説を立てて実験を繰り返し、琴線に触れるアレを巡り、
個人的なWARを起こす”逸脱音楽家兼サウンドアート発動家”
此節、音と映像のアルゴリズム解析中。

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