COLUMN

2020.11.10

「有名な夢の中で、」 by KooK 第4回/砂浜の中で、

本当の夢の話をしよう。小さい頃、よく見たのは大きなタイヤに追われる夢だ。ひたすら逃げる。真っ直ぐな道をひたすら、もがきながら走り続ける。目を瞼を開くまで。。
大人になっても逃げる夢が多かった。冤罪事件に巻き込まれ、自分は悪くないと思いながら走り、時には建物に隠れ、捕まるか捕まらないかで目が醒める。嗚呼。。


現実の自分は”たたかう”を選択した。円山町に立っていた。ホテルが勃ち並ぶ。女の手をなかば強引に引くもの。〇〇円でどう?と話しかけてくるアジアのおばちゃん。それらを横目に戦場にむかっていた。門番が現れた!ガチムチな漢が仁王立していた。恐る恐る、こんばんわー。反応がない。東京都公安委員から発行された普通自動車免許証を見せた。扉が開いた。

クロークを横目に地下に下りると、低音がカラダを揺すった。ツゥクチーツゥクチー、ドンチードンチー、レイザー照明に照らせれた人間がBPMに合わせてカラダを右往左往させていた。
すぐには溶け込めなかった。とりあえずハタチになったしお酒を飲もう。自販機の前に立った。レッドブル?べこ(牛)がぶつかり合いっこ?こんなお酒があるんだぁ。飲んでみた。ただの炭酸水じゃないか!

いや、なんか目が覚めてきた!なんだこれは?ヤバイのか?

(初めての時だけだった。2回目からはただのシュワシュワ水。)

実家で牛を飼っていた。肉牛だ。何頭かの雌牛に子牛を産ませて、その牛がある程度大きくなったら肉牛として売られていく。一段階目の、子牛を別の小屋に入れられる時と、売りに出すために牛車に乗せられた後は、親牛が一晩中泣いている。モウモウと。子供なりに受け入れつつも悲しかった。乳牛がよかったなと。
今だに、雌牛の名前を覚えている。下手から、さかえ、ふたば、おぐつ、ふくこ、うめこ、よしこ。祖父にとって自慢の娘たちだったと思う。よしこの子供が賞を獲ったと、嬉しそうに話してたのを思い出した。


階段を上がりバーカウンターでカルーアミルクを注文した。甘い。牛乳は好きだけど。。甘い。と思いながらたまたま遭遇した、いしだ壱成のDJを聞いていた。最近もヤフーニュースで彼の記事を見かけた。下に戻り酒を煽りとりあえずカラダを揺すってみた。楽しい気もしたが物足りなかった。早々に切り上げ、ガチムチに一礼し外に出た。外は薄っすら明るくなっていた。
コトが済んだ男女と死んだように寝ている男を横目に帰路についた。

アルバイトをしていた。舞台やコンサート、イベント等の設営・撤去の登録制のバイトだ。最初の現場はCXだった。踊る大捜査線のセットを作るお手伝いだった。レインボーブリッジ封鎖するやつ。ここで一番印象的だったのが、早朝の帰り道。大道具さんのハイエースに乗り込み最寄りの駅まで送ってもらった。時速何キロだったのだろうか。首都高を猪突猛進し、車体全体がグワングワン揺れるほどだった。東京都公安委員も黙っちゃいないだろう。鼓動も速くなった。

駅に着きホッとしたらお腹がすいてきた。オレンジ色の牛丼屋さんが目に入った。

大盛り、つゆだくで。牛肉を食べた。ガツガツと。

ご馳走様でした。


ある時はショッピングモールにいた。お姉様方がそわそわしながら待っている。誰がでてくるのかと座りながら待っていた。スターが現れた。ダイゴ☆スターダストだ!(当時ね)公演が終わり楽屋に案内する任務に就く。こんな自分でも笑わせてくれるいい人だった。でも、DDI。


“どうでもいい”次に進もう。

“みっくす”。専門学校でのあだ名だ。単純に名前からだけど、自分が作るものはすべてみっくすだ。新しいものはひとつもない。聴いた音。感じた事。それをぐちゃぐちゃに混ぜて具現化させただけ。

仲間で音楽イベントをする事になった。東京体育館と将棋会館とそのハコを繋ぐと直角二等辺三角形が出来るような地理的条件で?初ライブをやる運びになった。ほとんど家で作ったもの流すだけだったが、手が震え、脈がいつもより速く打ち続けていた。


その2週間前、、ライブだからリアルタイムに何かしなきゃ。仁王立では愛想がないから何かしなきゃ。探していた。ゴソゴゾ。出てきたのが、リコーダー。十字キーとABボタンが付いているゲーム機。

ピーピーピー、ピコピコピコ、なんだが反応も微妙だ。自分でもしっくりこない。流したトラックの音楽性も音のバランスもひどいものだった。こんなものなのか。音に説得力はなく、お店の名物キーマカレーの匂いだけが充満し、嗅覚を刺激していた。でも今まで頭の中でしかリリースしてこなかった事が、今、外気を振動させている。そんな満足感があった。
ハートは前を向いていた。光学ディスクを回し、耳を澄まし、次の料理のネタを考えた。


お正月。特急電車の中にいた。就職先も決まらない。成果物も基準を満たさず。東京に残っている罪悪感。実家に帰るたびに頭が重くなった。
太平洋を眺めながら、シガーロスを聴いていた。悪い癖が出る。感情が先走る。モウモウと泣いた。

亀かもしれない。ウサギたちは途中で休んでいるかもしれない。ヨチヨチ歩きながらでも、砂まみれになったとしても、この海へ、入る事ができたなら。

彼は大海原に辿り着けるのか?衝撃のスペクタル劇場は続く。

PROFILE

KooK

キッチュなニッチを探る音のカラダ。
悶々と仮説を立てて実験を繰り返し、琴線に触れるアレを巡り、
個人的なWARを起こす”逸脱音楽家兼サウンドアート発動家”
此節、音と映像のアルゴリズム解析中。

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