FEATURE

2022.09.30

ユダの人生の転機になった10の音楽

FREEZINEが選ぶ「人生の転機になった10の音楽」シリーズ。
第28弾は、パンク・ロックバンド「流血ブリザード」Vo.のユダ!

もしもその音楽と出会っていなければ、いまの自分はない。人は誰しもが、そんな人生の転機となった音楽を持っているもの。そこでこのコンテンツでは、各界のFREEZINEたちに、自分史上において転機となった10の音楽を選んでもらい、当時のエピソードと共に紹介していただきます。選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。

zeke『dirty sanchez』

パンクだ、メタルだ、グランジだ色んなCDを買い集めてたけどなんかちょっと自分が思い浮かべてるものとちょっと違っててんな。
この頭の中で想像してる音楽 絶対あるはずやねんけど見つからへんなぁみたいな。
あっこれやん!て思ったのにほぼ当てはまってたのがZEKE。
これぞ理想のミュージックっちゅう感じ。
炭酸飲料みたいスカッとガーッ激しく速く、過剰なロック感もある。
ベル&セバスチャンの魅力を延々と語ってくる洋楽詳しいけどイヤミなとこある同級生がなぜかZEKEはいいとか言うて教えてくれたことがきっかけ。
ふん、ありがとよ。

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NIRVANA『From the Muddy Banks of the Wishkah』

数学一桁の点数しか取れへん俺の将来を憂いた親が家庭教師を付けたんやけど、その家庭教師がチャラい大学生の兄ちゃんやった。勉強そっちのけで、お笑い、エロ、漫画、そして音楽の話ばっかりして、「お前洋楽とか聴けや。」言うてくれたCDがBon Jovi の This Ain't Love SongとOASISのMorning GloryとNIRVANAのライブアルバムFrom the Muddy Banks of the Wishkahっちゅう訳わからん取り合わせ。
最初Bon Joviが一番聴きやすかったけどNIRVANAに取り憑かれるようになった。そこから他のアルバムやTHE YEAR PUNK BROKE1991のビデオを見てはSONIC YOUTHやDINOSAUR Jr.も買い集め、BLEACHのライナーに載ってるカートが共感できるバンド は買い集め、共感できないバンド は絶対買わんし聴かんとこ思った。
もちろんその前にもラルクとかは聴いてたけど将来バンドをするという潜在意識的な最初の扉を開いた運命のCDやったと思う。
え?数学?うん 最後まで一桁台やった。

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BRAHMAN『A MAN OF THE WORLD』

バンドをやる直接きっかけになった運命のバンド。高校生の時に初めてLiveを観た日本のバンドが神戸チキンジョージでのBRAHMANのライブ。
それまでも音楽はよく聴いてたけど自分が歌うなんて考えたこともなかった。カラオケすら嫌で行かんかったのにバンドやろう!Vo.やってみたいという気持ちが芽生えた。
翌日「ア マン オブ ザワールド」のCDをダイエーの中にあったCD屋で買うて、部屋で毎日歌詞カードを読みながら歌うようになった。
服装も真似したり、ぽい歌詞を頑張って書いてみたり、ぽいオリジナル曲を頑張って作ってみたり夢中やったね。
ビデオ“CRAVING"なんかも毎日見とったわ。
そのチキンジョージのチケットとア マン~のCDに貼られたバラーマンてなってるラベル(店員読めんかったんかな…)を、将来自分もバンドをしてBRAHMANと共演できた時見せようとずっと持っとってな。2018年のユダフェスに出演してくれた時にその夢が叶ったよ。2020年には俺らのCDの帯にコメントも書いてくれてバンド続けてきてよかったと思った。
実際に1日一緒に過ごして単に出演してれただけでなくとことん寄り添ってくれた。
ほんまに熱い人やった。
ほんまに鬼でもあった。笑
トシロウさんが「俺たちに影響されてバンドやったのになんでそんなんなった。」言うてはったけど。
たしかに言うたら俺ら落とし子やのにBRAHMANとまるで真逆のバンドとなってしまった、、な
せやけど元は俺、”TOSHI-LOW"になりたかったんや。

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stupid babies go mad『BURN UP THE WORLD』

再生した瞬間殺された。
これこそ皆殺しのメロディ、これぞ究極のロック。
俺の中ではロック、ロックンロールという言葉はジェリーリールイスだとかビートルズとかではなくSTUPID BABIES GO MADを指している。
これがオリコンTOP10内に入らないなんて日本はまだまだ後進国じゃ。
レコーディング時にどんなアルバムにしたいんですか?って聴かれたらSTUPID BABIES GO MADみたいなんにしたいです!って真っ先に答えるね。

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☆HISATAKA☆『シュガー』

奇蹟って見たことあるか?俺はある。
ロック漫画や映画でよくありそな「なんだ…!?これは?こんなすげぇの見たことねぇ。最高だ!狂ってる。」みたいなシーン。
そんなん現実世界で体験させてくれたバンド。
初めて見たのは難波BEARS、日本脳炎とかが共演やったと思う。
バンドが放つ妖気、地下の狂人達が繰り広げる異形の空間。
あらぁ最強やわ。
80年代のサークルジャークスだのマイナースレットだの体感することはできなかったが俺は☆HISATAKA☆を体感することができた。
俺はとにかく☆HISATAKA☆を追っかけてた。

狂撃『ザ・パンクス』

アメ村KING COBRAとJAPAN-狂撃-SPECIALはまさに青春やね。
当時の大阪でみんな好きやったと思うで。
JAPAN-狂撃-SPECIALは男の子やったら誰でも好きにならざるを得ないもんが全て詰まってるわ。
曲やルックスは勿論のことメンバーも舎弟も全員個性的でそれぞれが魅力を放ってんねん。
チーム全体がイケてるスーパーグループや思う。
あんなんなりたいもんね。
俺は特にドラムの昭和過激さんに仲良くして貰ってて一緒に過ごす機会がちょくちょくあったんやけど、ちょっとした一言とかがもうほんま痺れるねんな。
考え方とかもかっこよくてチャーミングでめちゃ感化されたわ。
ある時キンコブの下でポツっと言いはった「俺らメジャーいくわ。下から叫んでも上には届かへんからや。」いう言葉なんかずっと頭に残ってる。
その後ほんまにメジャーなって快進撃繰り広げて有限実行やり遂げてるのを目にした。
せやけどまだ当時は無職やったのにミナミの喫茶アメリカンでホットケーキ奢っていただきすんませんでした。
千日前にあった神戸屋かなんかのお茶代も…汗
この世でいちばんカッコええ無職やったで、憧れの人やね。
最近になってよーかい君とも飲みに行かせてもらってファン丸出しでいろんなこと夢中で聞いたけど「ああ、やっぱり特別な凄いバンドやったんやな」って改めて再確認できた。
狂撃のみなさんがフェイバリットに挙げてるもっと上の世代のパンクも沢山聴いたけど俺にとってはJAPAN-狂撃-SPECIALが一番やな。

GG ALLIN『全身ハードコア』

この世の誰にも負けないくらいパンクが好きだという俺やったけど、かつてヒーローだと思っていた多くのパンクロッカーがもう自分の中では色褪せてしまった。
もうパンクなんかええわ…
そんな風に絶望した時期もGG ALLINだけはずっと輝き続けていた。
この世のなによりもピュアで美しい存在。

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SEX PISTOLS『KISS THIS』

中学生の時、近所のTSUTAYAで発見して帯に“パンクを知りたきゃ教えてやるぜ"とか書かれてたからそれに惹かれて買うて。笑
せやからNEVER MIND THE BOLLOCKSの曲順よりこっちの曲順のほうが自分にはしっかりくんねん。
はじめてセックスピストルズを聴いた時に稲妻が…
走ることは全くなくて、いやむしろ逆の意味で走ったかな。
ええーーっ?これがパンク?よく名前聞くセックスピストルズなんー!?…
っていうショックがな。
「なんなん、このじじいみたいな声と、んにゃっていうきもい歌い方…全然かっこよくない。激しくないし古くさい、やっぱNIRVANA やな!」て思った。
しかしその後シド・ヴィシャスのルックスに惹かれて聴くようになって、いろんなピストルズ関連の本を読み漁るようになった。
幼少期から常に劣等感に苛まれていた俺はピストルズの最低なエピソードを知る度に凄く救われた。
気がつけば熱病のようにSEX PISTOLSのことばかり考えてしまうようになった。
最初はシドのMY WAYとSilly thingばっかり聴いてて肝心なロットンが歌う代表曲は後回しやったかな。
今では全曲最高って思ってるし、人類の歴史で一番の出来事はSEX PISTOLSが生まれたことやと思ってる。
拝啓EMIの間奏のところでなぜか感極まってよく泣いてたな。
ほんでピストルズ自体がよく巷で聞くようなパンク精神論から照らし合わせたら「いや、それ あかんやん!ファッションパンクですやん」と突っ込みたくなるような部分が多いことがまた素晴らしいよな。
パンクの代名詞が率先してパンクなんてもんがいかに矛盾しててええ加減なペテンかっていうのを身をもって教えてくれたよ。それぞパァァァァンクですよ。
あ、今は断然ジョニー派です。

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マッド・スターリン『爆裂都市』

やっぱり流血ブリザードをバンドにする時一番影響受けたんちゃいますか。
特に映画 爆裂都市に出てくるマッド・スターリンに。
爆裂都市はマッドスターリンを見るための映画や思とります。
パンクいうたらメイクして、客席に物投げて、人のライブに乱入したり、全裸なったりせなあかんというのを学びましたわ。
教科書やね。
僕ら真面目やから教科書で習たことを一生懸命にやってますねん。
誰が言うたか“パンクは中二病をビンビンに刺激してくれる悪者であれ "いう教示があんねん。
せっかくハードでワルな音楽してんのに見た目がヘボかったり、ステージングが退屈やったり、歌詞がJ-POPみたいな妙なええ事歌っててガッカリさせてくれるパンクバンドも多いんやけど…
その点スターリンは100点でしょ。
なんか…「お前はスターリンの表面的な事しか理解しとらん!」とか言うてお堅い人らが怒ってきそうやね。笑
うん、俺はパンクの表面的な部分が好きやねん。
それはそれでよろしいやん。
精神性云々うんちくいりまへん。

渋谷サイクロンで初めてミチロウさんと共演できた時にラブレター渡したらその場ですぐ読んでくれた。

ミチロウさん「(ライブで)放尿もするの?」
俺「はい!その辺りも影響受けてますんで!たまにですけど。」
ミチロウさん「ふーん…。」(神妙な顔で)

という楽屋の会話の後ライブ中のMCで
「流血ブリザードのユダくんもスターリンに影響されているからね。彼も人生転落していきますよ。」
と触れてくださった。笑

はい、ほんまに転げ落ちてますわ。
さすがですミチロウさん!

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SxOxB『STILL GRIND ATTITUDE』

俺、SxOxBの音源はDUB GRINDから入ってそっからLEAVE ME ALONEとか他のアルバムも買い揃えていったかたちなんやけど。
どの期の作品も好きやね。
自分が実際にライブを体感できたのも共演することができたのも今のSxOxBやし今回はSTILL GRIND ATTITUDEを挙げることにします。
今のSxOxBめちゃくちゃかっこいい。
ETSUSHIさんは素晴らしいVo.やし憧れてるわ。
SxOxBは曲もデザインも考え方もバンドのエピソードもあらゆる部分に刺激受けたんやけど、でもなんか最初から好きやってんな。
高校生の時SxOxBが好きってこと自体が自分の中でなんか イケてること みたいな感覚があったわ。
これまで何回か行った海外遠征の時は必ずSxOxBのTシャツを向こうで着てたね。
“俺らの国にはSxOxBがおんねんぞ!"
みたいな気持ちで。
好きなエピソードのひとつでTOTTSUAN氏とYASUEさんが
「SxOxBは絶対に解散させない!」って約束したっていう話な。
「俺がいなくなっても、メンバー探してやってくれよ。YASUEがいなくなったら、俺もメンバー探すし。」ってTOTTSUAN氏が言ったっていう、
たとえ自分達がおらんくなっても世代交代して息子が孫が入ろうが永久的に続いていくバンドにするというね。
これもうSxOxBやからこそ痺れるねん。
アンチノックでYASUEさんに「バンド続けなあかんで。誰がおっても誰がおらんなってもな。」て声かけてもろた時ほんま感動やったな。
関西のハードコア最高やぁ!SxOxB最高!!

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改めて「人生の転機になった10の音楽」を選んでみて。

10個なんて選ぶんほんまキツかったわぁ。笑
皆そやろけど腐るほどいろんなミュージックに影響受けとるんで今回はパンクもんに絞りましたわ。
それこそゲームミュージックやのHIP HOPやのまで入れ出したら無限になってまうからね。
その時その時でチョイス変わるやろから次やったら全然変わってるかもしれません。
絶対あとからなんでコレ選ばへんかってん!て思い後悔すると思います。
これ見た近しい人からも「お前は絶対アレ入れなあかんやんけ!なんで入ってへんねん!」とか言われるやろなぁ…
次はアナル玄藩についてひたすら語りたいです。

PROFILE

ユダ

■流血ブリザード プロフィール■
ユダ(ボーカル)、ミリー・バイソン(ギター)、セクシー・ダイナマイト・プッシー・ガロアVIII世(ドラム)、ベルゼブブヨゴレ ( ベース ) の 4 人からなるパンク・ロックバンド。
「ノブナガ」ビートたけし & 石橋貴明「日曜ゴールデンで何やってんだテレビ」「BAZOOKA!」「えびちゃんズー」などのバラエティー番組や TV CM にも多数出演。
海外アーティストとの共演多数、元セックス・ピストルズのポール・クック率いる THE PROFESSIONALS や THE WiLDHEARS のサポートアクトも務める一方、ANTiSEEN の来日ツアーを自ら企画し、ANTiSEEN との SPLIT シング ルも発売した。
毎年恒例となっている自主企画『JUDA FEST 2018』には BRAHMAN、ギターウルフ、九狼吽が出演。
パンクのカテゴリーにとらわれず多岐にわたり活動の幅を広げている。
『COMING KOBE』『長田大行進曲』等の国内フェスに出演。
2014 年の台湾フェス SPRING SCREAM を皮切りに海外進出を果たし、カナダ『Envol et Macadam』、台湾『HEARTOWN ROCK FEST』等の海外フェスティバルにも出演。 英国ロンドンで開催されるフェスティバル『CamdenRocks』では日本人初、2018 年、2019 年の 2 年連続の出演をした。 2019 年には
ロンドンからフィンランドへのツアーを敢行している。
2022年現在、HELL DUMPとSPLIT音源を発売し~流血ダンプの汚物は消毒ツアーⅡ 乱世覇道編~を開催中。

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