FEATURE

2022.07.12

巫女ちゃんの人生の転機になった10の音楽

FREEZINEが選ぶ「人生の転機になった10の音楽」シリーズ。
第27弾は、アイドルパンクバンド「ヒゲと味噌汁」ボーカルの巫女ちゃん!

もしもその音楽と出会っていなければ、いまの自分はない。人は誰しもが、そんな人生の転機となった音楽を持っているもの。そこでこのコンテンツでは、各界のFREEZINEたちに、自分史上において転機となった10の音楽を選んでもらい、当時のエピソードと共に紹介していただきます。選ばれた音の並びから、人となりが見えてくる。

『おばけなんてないさ(童謡)』

保育園〜中学生まで8年間習ったピアノの発表会で最後に弾いた曲
私の後に小学1年生の子が遥かに難しい曲を弾いていて悔しいやら恥ずかしいやら…
花束を持ってきてくれた友達のいたたまれない顔
なんで友達なんて呼んでしまったんだろうという後悔の念
涙を堪えて下唇を噛みしめたあの夏の日、私はピアノを辞めた

『浦安の舞』

10代〜20代にかけて毎日朝晩琴と舞を練習した曲
浦安の舞は、巫女舞の中では1番ポピュラーな舞になるんだけど、とにかく私は浦安の舞を舞う事が嫌いだった。だから琴の練習をたくさんして舞うことから逃げていた
巫女時代、巫女同士のネチネチとしたドロドロの女関係を思い出す曲

NOISY CROWDS『steady love』

これはLIFEと言うアルバムに収録されている曲です
初めて聞いたインディーズバンドの曲
深夜の音楽番組【えびす温泉】を初めて見た際に出演していたバンド「NOISY CROWDS」
「クラッシック音楽以外はただの雑音」と言う親の影響でクラッシックのみで育ってきた私は雷に打たれたような衝撃を受けました
全身に電流が流れたような、モノクロだった世界が突如高画質のカラーに変わった感じ
音を全身で楽しんで、伝えたい思いを歌詞と曲にして表現してる
音楽ってこんなに自由で良いんだ!言いたいことを言って良いんだ!って熱いものが込み上げた
英語が読めなかった私はバンド名が曖昧にしか分からず、その後探し続ける事四半世紀。NOISY CROWDSのボーカル詩那さんはヴィジュアル系演歌歌手TAKASHIさんとしてご活躍されていて、今年偶然にも池袋手刀にて対バン出来たのは、もはや運命、神様のお導き、神に感謝。

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CASCADE『VIVA!』

私の狂おしい程に痛々しい青春の曲
お小遣い全額投入で追いかけた中学時代
公開録音と体育祭が重なり、どうしても公開録音行きたかった私は体育祭の前日から怪我を仕込み、当日担任の前で学校の階段から落ちて見せ、そのまま病院に運ばれ上手く早退して公開録音へ行った。
推しは全力で推せる時に推す!コレ大事。

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死ね死ね団『不屈の代紋』

ボーカラーの中卒さんの圧倒的存在感もさることながらムチャクチャ心地いいメロディーと身体にスッと入って来て頭にこびりつく歌詞
ギターの音なんか超エロティックで胸キュン、ベースの太くて固い音が子宮に響くし、ボーカラー中卒さんの混じり気の無い歌声は優しく、時に激しく身体を包み込んでくれる訳で…死ね死ね団の音楽って、もはやSEXだと思う
当時、中二病を無事に発症してギターを買った私は、ギターのケムール星人さんのマネ(ギターを持ったまま足を開いてジャンプ)したら、着地に失敗して右足の薬指骨折したのは甘酸っぱい思い出
死ね死ね団は1984年〜30年以上毎月ライブを恒常的に行ってたの本当に凄い!
KEEP THE SINE SINE DANって曲の歌詞に「10年なら常人でも続くが20年となると狂人じゃないと」ってあるんだけど、この歌詞を心の支えにヒゲと味噌汁続けて来た。毎月ライブやって長くバンドを続けるって本当にね!アレよね!アレなのよ!
留学中の2014年7月以外は毎月必ずライブをしたし、コロナ禍でもライブを止めなかった。ヒゲと味噌汁が20年続けて来れたのは死ね死ね団のお陰です!
ボーカラーの中卒さんが現在闘病中ですが、復活してまた最高のライブを見せてくれることを期待して待ってます!

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QP-CRAZY『キューピークレイジーの地獄行きだョ!出発進行!!』

ボーカルのthe CRAZY SKB氏は私の神
殺害塩化ビニールは私の人生
生まれて初めて行ったライブハウスは三軒茶屋ヘブンズドアで、殺害塩化ビニールの企画でした。
中学生が独りでライブハウスに入るのは中々の勇気が必要だった訳で、護身用にラバーナイフと催涙スプレーとスタンガン持って行き、お金は靴下に入れていた為に物販買えなかった。
私にもそんな可愛い時代が有ったんです。
バンドキッズに伝えたい!
ライブハウスは結構安全だから、スタンガンとか持ってきちゃ駄目!
※殺害塩化ビニールとはQP-CRAZYのボーカルである「バカ社長」ことthe CRAZY SKBによって設立された、日本のインディーズレコードレーベルだょ

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NO BRAIN

フジ・ロックフェスティバル 2001で旭日旗を噛み千切るパフォーマンスをして炎上したバンド(この件で未だに日本でライブが出来ない)
ネットで動画を見た時に、映像よりもその曲のカッコ良さにハート鷲掴みにされた
私に韓国留学を決意させたバンド「ノーブレイン」
韓国で1番有名なパンクバンドであり、代表曲「넌 내게 반했어(ノンネゲパネッソ)」を知らない韓国人はもはや居ない
対バンを大切に、エグいほどのファンサービスでお客さんを魅了するステージは見る人全ての心をつかむ
どんなに大きな会場だったとしてもボーカルのイ・ソンウ氏が歌い出すとその存在感の大きさに、まるで小さなライブハウスに居る感覚になる
カリスマとはイ・ソンウ氏の為の言葉で間違いない
私の理想であり目標とするボーカリスト
1996年~現在まで常に韓国パンクのトップを走り続ける最高にカッコイイバンドで、いつか対バンするのが私の夢
フジロックでヤラカシて反日バンドなんて言われてるけど、イ・ソンウ氏は「東京ロック」って言う旅行誌を出すほど日本好きで日本語も話せるよ

Crying Nut『서커스 매직 유랑단(サーカス・マジック流浪団)』

韓国を代表する酔いどれパンクバンド「Crying Nut」
キーボード以外は幼い頃からの幼なじみでギターとドラムは双子の兄弟
音楽と酒を通して仲良しの同級生同士がメチャクチャ楽しく遊んでるみたいなライブを見せてくれる。「音楽ってこんなに楽しいんだ!ライブハウスってこんなに元気をもらえる場所なんだ!」って心から思わせてくれるカッコイイ酒飲みバンド
キーボードのキム・インス氏は会うたびに酒を飲みに連れて行ってくれる最高に面倒見のいい優しいオッパ(お兄ちゃん)
ライブは気心知れたメンバーと楽しく酒飲みながらやるのが1番
ヒゲと味噌汁を続ける上で、私が1番大切にしてることです

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RUX『Where Do We Go』

韓国のレジェンドと呼ばれてるバンド「RUX」
2005年インディーズバンドとして韓国で初めて生放送のテレビに出演した際に、ステージに上げた仲間がチンコを出して逮捕されたバンド。通称「チンコを出して禁錮2年事件」それ以降未だに、韓国ではインディーズバンドがテレビに出られない
しかも、ボーカルのワン・ジョンヒ氏が歌ってた歌詞が「俺たちがこうやって新しい歴史を作っていくから」だったの最高過ぎるでしょ
その後も酔って肉を盗んだり色々事件を起こすものの、革ジャンにデカデカと書かれた「RUX」の文字が監視カメラ映像に残りその都度直ぐ逮捕される
とにかく最高にアホなんだけど、ワン・ジョンヒ氏が作る音楽は本気でカッコイイ
ネットで初めて動画を見た時も、チンコよりもその音楽に心奪われた
2016年と2017年に韓国で対バンさせてもらい、一緒に飲んでる時にワン・ジョンヒ氏に「One for all All for one」と言われ、それからずっとヒゲと味噌汁のライブで使ってる

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今まで対バンしてくれた多くのバンドの曲

神奈川県、東京、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、韓国
色んなライブハウスで色んなバンドと対バンさせてもらいました。たくさん刺激を頂き今のヒゲと味噌汁があります。
今後も一期一会の出会いに感謝して、2度は無い1度きりのライブを楽しみながら最高の1日を一緒に作っていきたいです
今まで対バンしてくれたバンドの皆さん、ありがとうございます
これから出会う対バンの皆さん、宜しくお願い致します

改めて「人生の転機になった10の音楽」を選んでみて。

1000あっても足りないのに、その中からたった10だけ選ぶの本当に難しかったです。
しかも転機を迎えた位、好きなバンドだからつい熱く語りたくなって、どんどん長くなる文…
今まで出会ったバンドや音楽を思い出したり、動画を見ては独りで爆笑したり、10選ぶ作業は本当に楽しい時間となりました。そして、自分を見つめ直す良い機会となりました。
中学生の頃から三軒茶屋のライブハウス ヘブンズドアへ通うようになり、ヘブンズドアが遊び場となり、それが心の拠り所に変わり、いつしか自分の居場所になっていました。
自分にとって音楽は無くてはならないもので、生きていく上で絶対に必要で大切なものだと言うことを改めて感じることが出来ました。
なにより、バンドは一人では出来ないし、私は一人では続けられなかったので、一緒にヒゲと味噌汁を歩んでくれているメンバーには感謝しかありません。産休中のベーシストに代わり、私達がヒゲと味噌汁を続けられるようにとサポートしてくださっているベーシストの皆さんにも感謝しております。
そして、こういう機会をくださったFREEZINE様、本当にありがとうございました。

PROFILE

巫女ちゃん

アイドルパンクバンド「ヒゲと味噌汁」ボーカル
作詞作曲担当
女優の山村紅葉さんとよく間違われますが、山村紅葉さんは私の腹違いの種違いの双子の実の姉です

ヒゲと味噌汁 ホームページ

ヒゲと味噌汁 YouTubeチャンネル

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